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帽子が飛んでいる。 帽子はしばらく町の上空を旋回し、ある停留所に着地した。停留所といって…
バス停に列ができている。 100人はいるだろう。いや、「100人」という言い方は正しくない。並…
K氏の職場はビルの37階にある。 ある日K氏は気まぐれで、オフィスまで階段でのぼることにした…
ある男が、飼っているオウムに「ボク、カラス」という言葉を覚えさせようとした。 しかしオウ…
ヴルタヴァ川に架かる橋から老人が飛び降りた。 近くで見ていた物売りの老人も飛び降りた。 …
湖で2人の男が釣りをしていた。 2人は同じ餌を使い、お互いのいる場所は10メートルと離れ…
ある老人が死にかけている。あと数日というところだろう。最期は自宅で迎えたいと、少し前に病院を出た。今は家族と穏やかに過ごしている。 「とんかつが食べたい」 体の状態が少し良いときに老人がそう言った。 ここ数年油物は控えていたが、元々とんかつも、から揚げも、天婦羅も大好きだった。 死期を悟って最後に好きなものを食べたいと思ったのだろう。家族も察した。 「そうだな、親父。昔みんなでよく行ったとんかつ屋に行ってみようか」 老人は自力ではほとんど歩けない。出前を取ることも
4〜5歳くらいの子どもが一人、公園の滑り台で遊んでいた。周りには他に誰もいない。保護者らし…
私は、キュウリを、洗って、食べた。 洗わないで食べたのではなく、洗って食べた。 トマトで…
ある南の海で、私はダイビングを楽しんでいた。 色とりどりの魚たちが、私の目と心を癒やして…
目が覚めると私はシロイルカになっていた。そして私は海へ帰った。
N氏は日めくりカレンダーをめくった。 一枚では足りず、もう一枚めくった。 さらに一枚めく…
金曜の夜、某駅前。 疲れたサラリーマンが若いストリートミュージシャンの前で足を止めた。 …
ある店の駐車場に数人の若者が屯していた。 彼らは翌日もその駐車場に屯していた。 その翌日も彼らは同じ場所に屯していた。 その翌日も… その翌日も… … 若者たちは屯し続けた。 そのうちに若者の一人が死んだ(もう若者ではなかった)。 若者たちは一人ずつ死んでいった(もう誰も若者ではなかった)。 最後の一人が死ぬと、その駐車場には別の若者のグループが屯するようになった。