見出し画像

サウジが秘密裏にゴールド購入

私は金価格は米国政策金利に関係なく、米国の覇権の衰退と共に上昇していくと見ています。そして米国の覇権衰退は長期的なトレンドなので、今後もゴールドは買いです。米中覇権戦争でどちらかが、技術的、経済的、軍事的に敗北するまで金は買い継続でしょう。

2022年以降、米国が利上げ局面だったにもかかわらず金価格は上昇してきました。背景の一端として紹介します。

サウジ中央銀行がスイスで160トンの金を密かに購入していたことが判明


ここからは、私の記事の簡単な解説になります。

下のチャートをご覧ください

黒:金価格
オレンジ:サウジアラビアの金購入量

サウジアラビアは、以前は金価格が上昇すると金購入を停止したり売却したりしていました。しかし、ウクライナ戦争での米国のロシアへの金融制裁以降は金価格に関わらず継続的に購入しています。

次のグラフをご覧ください

オレンジ:サウジアラビアがIMFへ報告した金購入量
黒:世界金協会が推定するサウジアラビアの金購入量

各国中央銀行は定期的に、金の貿易統計をIMFに報告する義務があります。しかし、世界金協会はサウジアラビアの金購入量はもっと大きいと推定しています。
特に米国がロシアのドル口座を凍結した以降に、IMFと世界金協会のデータに大きな乖離が発生しています。

世界金協会の推定は事実でしょうか?
以前より金地金の業者の間では、サウジアラビア中央銀行はスイスやロンドンで金を購入し、現地の銀行に地金の発送を依頼することが多いと言われていました。その際、現地の銀行は税関手続きをしなければならないため、国境を越えた取引にはデータを隠蔽しない限り痕跡が残ります。

次のグラフをご覧ください

青:スイスからサウジアラビアへの地金の輸出量
オレンジ:サウジアラビア中央銀行の推定金購入量
(世界金協会の推定金購入量からサウジ国内での民間消費を差し引いた量)

スイスからサウジアラビアの金輸出量と、サウジアラビアの推定金購入量に相関関係があることがわかります。このグラフからは、米国が金融制裁を発動した以降、スイスで秘密裏に金の現物を購入していることが推察できます。

結論

サウジアラビアはIMFへの報告よりも、秘密裏にかなり多くの金を保有している。しかも、先物市場やETFではなく現物で保有している。
このことから、長期保有前提だと推察します。
2023年の世界の貿易黒字1位の中国、3位のロシアに加わり、4位のサウジアラビアまでが、貿易で得たドルを金に交換する買い手に回りました。
今後、利下げによって米欧が買い手に回ることを考えると上昇はむしろ加速すると思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?