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本読みの記録(2023)

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ブックレビューなど書物に関するテキストを収録しています。対象は2023年刊行の書籍。
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記事一覧

老舗には日本の伝統と文化が宿っている!?〜『保守とは横丁の蕎麦屋を守ることである…

◆福田和也著『保守とは横丁の蕎麦屋を守ることである コロナ禍「名店再訪」から「保守再起動…

吉本 俊二
1日前
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何のために並ぶのか!?〜『列』

◆中村文則著『列』 出版社:講談社 発売時期:2023年10月 長くいつまでも動かない列に人々が…

吉本 俊二
3日前
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いくつものハードルを可視化する〜『なぜ日本は原発を止められないのか?』

◆青木美希著『なぜ日本は原発を止められないのか?』 出版社:文藝春秋 発売時期:2023年11月…

吉本 俊二
7日前

アニミズムに基づく社会へ〜『資本主義の次に来る世界』

◆ジェイソン・ヒッケル著『資本主義の次に来る世界』(野中香方子訳) 出版社:東洋経済新報…

吉本 俊二
2か月前
1

人類社会の平和を考えるための鍵言葉!?〜『共感革命』

◆山極壽一著『共感革命 社交する人類の進化と未来』 出版社:河出書房新社 発売時期:2023年…

吉本 俊二
2か月前

小説という不謹慎!?〜『カーテンコール』

◆筒井康隆著『カーテンコール』 出版社:新潮社 発売時期:2023年10月 筒井康隆「最後の作品…

吉本 俊二
3か月前
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芸術は人の行く道を照らしてくれる〜『原田マハ、アートの達人に会いにいく』

◆原田マハ著『原田マハ、アートの達人に会いにいく』 出版社:新潮社 発売時期:2023年3月 アートをモチーフにした小説で知られる作家の原田マハがアートの世界で活躍している人々を訪ねて対話する。本書は「芸術新潮」に連載された記事を書籍化したものです。 原田が会いにいった「達人」はなるほど錚々たる顔ぶれです。竹宮惠子、美輪明宏、ドナルド・キーン、池田理代子、藤森照信、山田洋次、フジコ・ヘミング、高階秀爾、大野和士、谷川俊太郎、安藤忠雄……。 池田理代子との対話は、原田が若

社会的弱者を排除し続ける社会〜『あの公園のベンチには、なぜ仕切りがあるのか?』

◆森達也編著『あの公園のベンチには、なぜ仕切りがあるのか? 知らぬ間に忍び寄る排除と差別…

吉本 俊二
4か月前
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ネンブツは自由そのもの〜『一億三千万人のための『歎異抄』』

◆高橋源一郎著『一億三千万人のための『歎異抄』』 出版社:朝日新聞出版 発売時期:2023年11…

吉本 俊二
5か月前
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コロナ禍から見えてきたこと〜『家族と厄災』

◆信田さよ子著『家族と厄災』 出版社:生きのびるブックス 発売時期:2023年9月 家族とりわ…

吉本 俊二
5か月前

近代的人間像を超えた看護師〜『超人ナイチンゲール』

◆栗原康著『超人ナイチンゲール』 出版社:医学書院 発売時期:2023年11月 近代看護の母とし…

吉本 俊二
6か月前
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自由と平等の葛藤を友愛が調停する!?〜『街場の米中論』

◆内田樹著『街場の米中論』 出版社:東洋経済新報社 発売時期:2023年12月 このところ内田樹…

吉本 俊二
6か月前
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主体なき国家のなかで生きてゆく〜『新しい戦前』

◆内田樹、白井聡著『新しい戦前 この国の“いま”を読み解く』 出版社:朝日新聞出版 発売時…

吉本 俊二
6か月前

夏裘冬扇〜『歴史は予言する』

◆片山杜秀著『歴史は予言する』 出版社:新潮社 発売時期:2023年12月 週刊新潮に「夏裘冬扇」というタイトルで連載したコラムを収録した新書です。「夏裘冬扇」とは柿本人麻呂の歌から採ったもので、「仙人は夏にも冬にも獣の厚い皮のコートと扇子の両方を持っている」という意味らしい。浮世離れした仙人のように、斜め目線で妄言を述べるとの趣旨だそう。 今を思いながら遠い昔を描くという前口上にもあるように歴史的な視点を織り込みながら現在を語るのが本書の基本スタンス。「歴史は予言する」