誰のこどもでもなくなるということ 2

多分誰もが一度は経験してることだと思うが、子供のころ、寝る前とか電気を消してベッドに入ったときに、死んだらどうなるんだろう…お父さんやお母さんが死んだらどうしようって胸がどきどきして眠れなくなることがよくあった。死ぬということがどうしようもなく怖く、それが家族の身に降りかかるとしたら私はどうなってしまうのだろうと小さな胸を痛めていた。そんな不安を抱えていたことは両親は知らないと思う。

親しい人間の初めての死との出会いは小学校一年生のおじいちゃんの時だった。
その時は死んだのを知らされてなかったのに、おじいちゃんが横たわっている布団の周りに従妹たちと集まっておじいちゃんを見ているという夢をみていた。今でもその夢の中の情景をよく覚えている。

親戚、友達のご家族 かわいがっていたペットの死
たくさんの死に出会ってきたけど、年を取るごとに精神が細くなってきたのか耐えられないようになってきた気がする。
無駄に共感性が強いせいで胸が押しつぶされそうになる。お葬式に行っては身内のようにぼろ雑巾のように泣き、飼っていたウサギが死ねば自分も半分死んだような気持ちになってとても消耗する。

子供のころは多分母親の影響か「泣くこと」が恥ずかしかった。
泣きたいことがあれば自分の部屋で布団にもぐって声を潜めて泣いていた。自分は我慢強い子だとずっと思ってた。

母親の影響を受けなくなった年齢ぐらいから、とにかく泣く。ご存じの方もいらっしゃると思うけど、とにかく泣きやすい。
別に泣いて気を引きたいとか思って泣くのではなく、どうしようもなく泣いてしまうのだ。泣くと顔がはれるし、ひっくひっくなって話せなくなるのがかっこ悪いし、涙で顔もボロボロになるし、頭がガンガンしてくるのでなるだけ泣きたくない。でも泣かないことができない。
心霊現象だのホラー映画だの手術シーンだの恐怖シーンは何一つ怖くないのに悲しさだけが怖い。

父が亡くなった時もずっと泣いてた。喪主としてあいさつをするにも今になって思うとかっこ悪いくらい泣いてひっくひっく言って何言ってるかわからなかっただろう。そういう場で人前に立つのは本当に無理だ。
でも子供のころの私があんなに恐れていた親の死に直面したのだから泣かないわけにはいかない。もうちいさな子供ではないのだけど。

母はあまり感情を出さないから悲しいとは思っていたけど、私が派手に泣くのに比べたら静かだった。どんな気持ちだったのか量れなかった。

すべて私に任せっきりで自分で何も決めることなく、動くことなく。私の不完全な事後処理にも口出さず。父については常に何も言わなかったので私もどんどん自分の考えで時間に流されるように進めていった。

母は何も思ってなかったのではなく、いろんな面で私に何もいえなかったのだということが今になってわかった

時を戻すことができない分後悔がのしかかってきてしんどい。きっと死ぬまで後悔し続けるんだろうな。そして今また泣いてばかりの日々を送っている、情けない自分に愛想がつきる


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