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読書感想文:光野桃さん「おしゃれの幸福論」

私の好きなエッセイストのおひとり、光野桃さん。
光野さんの著書をまた一冊読んだので感想を書いていきたいと思います。

【人生を変えたければ、まずは服を変えてみる! 】

これまでずっと楽しんできたはずのおしゃれが、ある日突然、うまくいかない……。
それは今、あなたの内面にも転機が訪れていることのお知らせなのかもしれません。

「なりたい自分」や「こうみられたい自分」をもう一度整理してワードローブを作りなおす。
それも一つの手ですが、服も人生もゆきづまった時、
それだけでは気持ちが前へ進まないこともあるのではないでしょうか?

本書で提案するのは、理想からの逆算ではなく、 「自分自身が着ていてワクワクするかどうか」でおしゃれを選び、決めていく新しいメソッドです。

あなたがおしゃれを通じ、「こんな自分もいた」「あんな自分もいた」と魅力を再発見したとき、
人生の転機を乗り切るヒントも、見つかってゆくのです。

おしゃれで幸せを引き寄せるヒントとともに、実践的なアイテムの着こなし術も多数紹介。
おしゃれと人生に悩む、全ての女性に贈る処方箋です。

https://www.amazon.co.jp/%E3%81%8A%E3%81%97%E3%82%83%E3%82%8C%E3%81%AE%E5%B9%B8%E7%A6%8F%E8%AB%96-%E5%85%89%E9%87%8E-%E6%A1%83/dp/4806148210

光野さんの優しく柔らかい視点で年を重ねたからこそのお洒落の楽しみ方が書かれていました。
ご友人などの具体的なエピソードを交えつつ、光野さんが行っているセルフケアも紹介されていて、今日からでも実践できるテクニックもありつつ、やはり全体的に光野さんの文章にじんわり包んでもらえるような読後感を味わえました。

特に印象的だったのは、セルフイメージの花によるコーディネートと月のワードローブという話。

セルフイメージを花に例え、キャッチフレーズをつけて、それに即したコーディネートを作ってみる、というワーク?を講演会で実際に行ったエピソードが紹介されています。
以前読んだ、あきやあさみさんの「一年3セットの服で生きる」という書籍にも通じるなぁ、と思いました。

花に例える、というのは吉屋信子先生の「花物語」のようで、それも素敵だなぁと思いました。
自分を花に例えるのは、好きな花を挙げるのとはまた違う難しさがありますね。
私も少しだけ自分を花に例えられるかな?と考えてみたけれど、全然思いつかない。
好きな花は幾つもあるけれど、それは私のイメージに即したものかと言うとちょっと違うし。

「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」という言葉のように、もしかしたら昔から女性を花に例えるのは自然なことなのかもしれないなぁ、と思いました。

今の自分のセルフイメージ、ということではないけれど、理想のセルフイメージを花で例えるなら、やはり蓮と乙女椿です。
如蓮華在水(にょれんげざいすい)という仏教用語は、「汚泥に染まることなく、美しい花を咲かせる蓮華のように、世の中の悪に染まることなく善を行ずる菩薩」を指します。
私は昔から、完璧な清廉潔白というものに懐疑的であるというか、自分は決してそうはなれないと思っていて、だからこそ煩悩に塗れながらも真摯でいることが理想だと考えています。
乙女椿は宮木あや子さまの「白蝶花」という中編連作集の中で一番好きなお話のタイトルになっています。
この「白蝶花」はまさに花物語で、それぞれ主人公の女性・その生き方がタイトルになっている花に例えるように描かれいます。
まだ寒さの残る初春、固く閉じた蕾が幾重にも重なった花弁を開いて咲く乙女椿はその名の通り、乙女を表すになんと適した花だろうととても胸が熱くなりました。

今の自分が、そうだとは自信をもって言えないけれど、やはりいつかは蓮や乙女椿のようになりたいなぁと思っています。

そして、月のワードローブについて。
「自分定番」を大切にして、太陽のように外へのエネルギーではなく、月のように自分の内側に問いかけるエネルギーで作るワードローブが提案されています。
これも、前述のあきやさんの提唱するファッション理念と繋がっている印象。
なんとなくモチーフとしても太陽より月に惹かれるので、月のワードローブという考え方もなんだかいいなぁ、実践してみたいなぁ、と思いました。

最後の方には、具体的に(主に40代や50代の女性へ向けての)セルフケアなどについて記載されていて、フェイスラインを自分で整えたりするのをついついサボりがちなので気付いたときだけでもいいから実践しよう!と思いました。

年齢を重ねることに余りネガティブな印象のない私ですが、この本を読んで更に楽しみが増えた感じがします。

では、また。


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