スモールビジネス専門投資ファンドが考えるスモールビジネス経営の設計図
こんにちは、琉球オフィスサービス 藤本です。
2019年の10月にSMB(スモールビジネス)に特化したインキュベーションファンドを設立し、沖縄県内中小企業への出資と経営のお手伝いをしています。
これまで10年間SMBを経営し、その前にも約10年SMB向けの事業に携わってきた経験から、SMB経営における要点らしきものをまとめたいと思って記事にしてみました。
ご一読いただければ幸いです。
ゴール設定
非常に大事だと思います。
ただし、よく語られるビジョンやミッションという大層なものでなくても、企業として「どうなりたいか(定性)」「どれくらいまでいきたいか(定量)」を、期間を区切って明文化する程度で十分機能すると思います。経営していくうちにビジョンやミッションが自然発生的に形成されることも多いと思いますので。
そして、変更・未達を気にしすぎず、3~10年の中長期で「これだけは!」と思える実現させたい未来をゴールとして設定するのが良いと思います。(定性/定量どちらも)
そこに対する熱意が持続しなければ意味がないので、きれいなものである必要はなく、純粋な願望で大丈夫です。
経営とは、個人の能力と成果を束ねて業績・成長に変換する作業です。各個人の能力の絶対値も重要ですが、能力を発揮するベクトルも同じく重要です。100の能力をまっすぐに成果に変換できれば100の成果になりますが、発揮する方向が45度ずれると成果は70程度になってしまいます。どこにベクトルを向けて欲しいのかをシンプルに、明確にすることが大事かと思います。
戦略策定
戦略はゴールからの逆算で策定します。
現時点からの足し算や延長線での戦略では、ストレッチが不足する傾向があります。また、想像のつく現実的な範囲内での改善にとどまる施策しか生まれず、大胆な変化が望めないことも多いです。
戦略を構成するKPIは、楽観的数値と保守的数値を出し、原則保守的な数値をベースに考えるのがいいと思います。たいていの場合、予測は甘くなるか、マイナス要因を忘れがちです。
戦略の重要要素
■ 商品・サービス
■ 人材
■ CF(キャッシュフロー)
■ 管理
以下で分解したいと思います。
商品・サービス戦略
競争しないことが最重要です。
特定セグメントの顧客には「必ず」選ばれるような商品であること。
自然に売れるレベルの競争力がある商品を、がんばってマーケティング・セールスし、大量に売る。
ターゲットとするマーケットでトップが獲れる商品であること=価格決定権、ルール設定権が獲れること。誰かのルールの上で競争をしないこと。
ターゲットとするマーケットが目標を達成できるキャパを持っていること。(小さすぎるマーケットで戦わないこと)
継続収入の要素をできるだけ組み込むこと。
常に小さくテストし、変化と改善とチャレンジを。
人事戦略
人材=顧客より優先されるステークホルダーです。人材の質は生命線なので妥協しない。
優秀な人材を呼び込める競争力のある待遇を想定し、あわせてそれを可能にするバッファのあるCF戦略を。
チーム構成にもバッファを持つ。経営陣はオペレーションから早期に外れる。各業務をこなせるのがその人だけという状態を作らない。(属人性の排除)
責任者の選定と運用は最重要。既得権益は腐敗の源です。役職をご褒美にしない。偉くなるほど楽になるのは間違いです。役職とは、結果に責任を持ち、結果の責任を取る者に、目標達成に必要な権限を付与するもの。 昇格条件はもちろん、降格条件も同等に重要です。
CF戦略
管理会計は必須、できればCF(キャッシュフロー)ベースでリアルタイムに。過去の記録以上に未来の予測が重要です。3~10年後のゴールまでの予測を立て、結果をリアルタイムに反映させて監視し続けます。
キャッシュ=選択肢。できるだけ厚く持つ。レバレッジも積極的に。
人件費は流動部分の比率を高めにしたほうが修正が効きやすい。
固定費は保守的に、投資は積極的に。
管理
得られるデータはすべて取得し、保管・分析・開示。開示できるデータは極力開示。データを基に議論し意思決定する。
予実は厳しく管理し、人の管理はミニマムに。ルールは少なければ少ないほど良い。管理部門もミニマムに。できるだけ優秀な人を少数。現時点の状況に対応できる管理体制ではなく、中期戦略を見越して拡張性のある体制を最初から構築する。
以上、これまで自身で中小企業を経営したり、企業を見てきた中で感じた点をざっと箇条書きであげてみました。
もちろん都市部と地方、規模、業態によってそぐわない部分も多くあるかと思いますが、少しでもご参考になれば幸いです。
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