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琉球オフィスサービス 2021年3月期 決算説明会および今後の資本政策について

こんにちは、琉球オフィスサービス 藤本です。
2021/05/21に2021年3月期決算説明を、同時に弊社株式のDirect Offering(直接募集)の予定についてお話しさせていただきました。

2021年3月期決算資料

大企業やスタートアップでは株式会社の特性である資本(株式)の活用がごく一般的に取り入れられ、そのことによる成長責任の明確化、開示義務や説明責任による経営の透明化を伴った社会性の高い経営を志向する(せざるを得ない)構造があります。

一方で中小企業(SMB)においては、所有と経営の独占が経営のブラックボックス化、権限の一極集中、牽制機能の喪失を招き、結果として企業の成長率低下に繋がっています。中長期的にはそれがオーナー経営者自身の大きな不利益になっているはずなのですが、同時に過度な節税や経費の私的流用などを可能にする構造でもあるために、少なくともそれが短期的にはオーナー経営者にとって経済的合理性がある状態にもなっています。

本来、オーナー経営者には経営執行に対する役員報酬というインカムゲインと経営結果に応じた持ち分株式の価値向上というキャピタルゲイン、両方の収益機会があり、それなりの成長を実現できるのならおそらく株式価値の方が迫力のある額になります。極端な例になりますが、スティーブ・ジョブズの報酬が1ドルだったり、僕の記憶が確かならジェフ・ベゾスやライブドア時代の堀江さんの報酬も非常に低い水準でした。保有株式がもたらす収入が圧倒的に高いため、役員報酬を高くする意味が薄いということだと思いますが、規模の差はあれどSMBのオーナー経営者でも理論的には同じなはずです。5年や10年の中長期でSMBの役員報酬合計を5億や10億円支払うよりも、企業価値をそのくらいまで上げる方が実現可能性としてまだ現実的です。ではなぜSMB経営において理屈上経済的合理性があるはずの企業価値(株式価値)向上よりも企業価値を毀損する利益圧縮による節税や勤務実態のない親族への報酬支払いなどが横行しているか・・・ですが、この理由は明確で、IPOやM&Aを目標としていないSMBの株式はほぼ現金化機会がないためです。

株式会社という仕組みが生み出されたとき、資本、経営力、労働力など違った特性を持つステークホルダーがそれぞれの能力をもちよることで個人では成し得ない大きな成果を獲得し、取ったリスクや貢献度合いに応じて分配することが制度の基本設計だったのではないでしょうか。現代においても大企業やスタートアップはその思想があるべき形で活用されているように見えます。反面、SMBにおいては株式会社という仕組みが持つ力が活かされていませんが、IPOやM&Aを経由しないSMBにおいても株式の現金化機会さえあれば、オーナー経営者にとってもいびつな節税テクニックや過度な役員報酬や私的経費による企業価値毀損は(よりわかりやすい形で)自身の利益毀損につながり、純粋に成長を目指す合理性が強くなります。

長くなりましたが、つまり何がしたいかというと「SMBの株式の現金化機会」を創出することで、SMBが成長する合理的な意味とインセンティブを設定したいと思っています。まさに地方のSMBである我々自身が自社株式を株式市場を介さずに販売し(つまりDirect Offering)、会社を信じて株主になっていただいた方々に継続的な開示義務と説明責任を果たし、その期待に応えるために業績向上に努力し、結果企業価値が向上することで外部株主や社員株主、そして経営株主の利益に繋がるという構造は、株式会社という仕組みが想定していた好循環の在り方でしょうし、なぜSMBにおいてそれが失われてしまっているのかが逆に不思議とも言えるのではないでしょうか。

資本の仕組みはその設計において流動を想定されていたはずです。SMBにおいて失われているその効力を取り戻し、SMBに成長するインセンティブを再設定することで、優れた経営能力が純粋に成長に振り向けられる未来を現実にするための試金石として、本年度に我々自身のDirect Private Offering、来年度にDirect Public Offeringとセカンダリー整備の準備をしています。多くの前例があるわけではないので手探りではありますが、現代および近未来のSMB経営の在り方をより良い形に変えていける大きな転機になるようにと思っています。

継続的に進捗のご報告をしていきたいと思っていますので、もし関心を持っていただけたら発信をフォローしていただければと思います。

※この記事は株式購入の勧誘を意図したものではありません。

20210523タイムス

2021/05/23 琉球新報朝刊より


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