34作目:同情の余地なし

 プリクラは夢を、証明写真は現実を見せる。
 就活用の証明写真を前に、絶望感に打ちひしがれる私。
 プリクラならあんなに可愛いのに。
 隣にいる、男子からの人気ナンバーワンの彼女も、証明写真を見ている。
 きっと私と同じように、絶望に打ちひしがれているのだろう。
 同情してあげたくなり、近づいて声をかける。
「現実ってこんなもんだよね」
「そうだね」
 彼女の手元の証明写真が目に入った。
「インスタだとあんなに映えるのに」
 そう語る彼女の証明写真はとても美人だった。
 私は現実から目をそらすように、彼女から離れた。

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