55作目:免罪符

 愛する人との子を流産してしまった。悲しいのは事実だが、私に泣く権利なんて無い。殺してしまったのは私だからだ。故意では無くとも私の責任だ。私の身体が弱いから。
「なあ、今夜はカレーにしよう」
 愛する人が、好物のカレーをせがむ。
「一緒に作るからさ。玉ねぎは任せたよ。……多めに切ってね」


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