ブルアカ4.5thPVガイド 聖書による講解 後編
この記事は「ブルアカ4.5thPVガイド 聖書による講解」の後編です。前編をご覧になっていない方は、先にご覧になることを推奨します。
前半では、動画26秒のお稲荷さんまでを考察しました。後半では、27秒以降、百花繚乱編とビル爆破などを見ていきます。
3百花繚乱
百鬼夜行の雪といえば、最終編で忍術研究部が向かった大雪原を思い出します。ただし、雪原というには起伏が激しすぎるのが気になります。
任務H19-2 陽依山、H19-3明霧山が百鬼夜行連合学園自治区だと考えるなら、そちらのような雪山を登っている可能性もあるかもしれません。
百鬼夜行中心部と見られるイラストです。スケジュールでも見られる大きな池の上に、たくさんの灯籠が浮かんでいます。
神木の桜の花が咲いていること、花火が上がっていることから、百夜ノ春ノ桜花祭のイベント中でしょうか?
灯籠流しはお盆の時期に行われる送り火の一種です。お盆に戻ってきた死者の魂を、再びあの世へ送り返す儀式であり、通常8月16日ごろに行われます。
そう、春の行事ではないのです。他の行事と合わせるために開催が速い石川県金沢市の「加賀友禅燈ろう流し」でさえ、5月下旬から6月の開催です。どう考えても春には間に合いません。
中国では、灯籠流しが旧正月・中元節・下元節などの様々なおめでたい日で実施されます。その点で言えば、百夜ノ春ノ桜花祭はまさしくおめでたい日です。ブルアカの開発は韓国ですから、そちらのイメージから来る考証ミスでしょう。
とはいえ、なんにせよ灯籠流しが「魂を弔う」意味を持つことは間違いありません。
この場面は「すでに亡くなっている人物が存在し、その魂は弔われている」ことを表していると考えられます。
4.5th PVの百花繚乱編スチルでは、死にそうな人がたくさん出てきますが、少なくともその死んだ人は、誰からも愛されず弔われない人ではなかったのでしょう。
焼き鳥を食べる御陵ナグサと、魑魅一座らしき生徒たちが見えます。恐ろしく物憂げに食べていますが、思案中でしょうか。あるいは過去を思い出しているのでしょうか。
三文字の伏せ字と、誰かの泣き言らしきセリフです。
百花繚乱紛争調停委員会の委員長である「アヤメ」が入ると考えるのが自然です。しかし、最終編を考えるとそんな自然なものが入るとは思えません。むしろ逆に「ナグサ」かもしれませんね。
ストーリー上、百鬼夜行連合学園の「連合」はもはや名ばかりです。
机の上に「花鳥風月部」と書かれてリボンで結ばれた箱が置いてあります。
ここ一連のスチルが同一場面であると仮定すると、
1. 前のスチルで天地ニヤに対する光源がニヤ左前方から当たっていた
2. 箱に対する光源が左前方から当たっている
3. 湯呑みが箱の右前方と左側の合計2つ確認できる
ことから、天地ニヤが誰かに対して、この箱を示しながら話している場面だと分かります。
拝具は手紙の末尾に使う締めのあいさつで、敬具の仲間です。「花鳥風月部の終わりを飾るもの」という比喩的な言葉でしょうか?
あるいは漢字そのまま受け取って、「拝むための道具」、つまり神事に使う神具を入れた箱だと捉えることもできます。花鳥風月部は神職集団だったのでしょうか?
髪の右側に大きな花飾りをつけた生徒が、縦繁障子をガラッと開けています。
ここ一連のスチルが同一の場面とするなら、天地カヤの右側から入ってきていると取れます。
物騒。
「継承戦」で部長の座を得ると宣言しています。御陵ナグサは百花繚乱調停委員会の副委員長ですが、おそらく先ほど出てきた花鳥風月部の部長を兼ねている(またはかつて部長だった)のでしょう。
そんな御陵ナグサを「継承戦」で倒し、部長の座を狙う、お嬢様口調の誰かがいるようです。おそらく、障子をガラッと開けていた花飾りの子です。
先を踏まえ、おそらく花鳥風月部の生徒と思われる4名が、楽しげに祭りを巡っています。
障子をガラッと開けていた花飾りの子がいますが、若干鼻の位置が低く、幼い印象があります。百花繚乱調停委員会の青い上着を着ていないことから、まだ委員会に入っていない時期の回想と見るのが妥当です。
花飾りの子と角が生えた子が持っている銃は、形状から三八式歩兵銃または九九式短小銃と見られます。
御陵ナグサの銃は三十式歩兵銃であると思われるため、その後継の銃である三八式歩兵銃や九九式短小銃を使っているこの2人も、御陵ナグサの後輩にあたるかもしれません。
となると、その2人に囲まれて微笑むケモミミの子が、御陵ナグサと同格である委員長のアヤメでしょうか。
花飾りの子が御陵ナグサ以外の2人と話しています。
継承戦でナグサ先輩を〜が現代での話なら、「継承戦」の実施を伝えている可能性もありますね。
百鬼夜行連合学園に必要とされなくなった、百花繚乱調停委員会のことでしょうか?
部長側も「継承戦」を経ないと職を譲ることができないと考えると、花鳥風月部の部長は単なる肩書きではなさそうです。
身体中の包帯と胸元の鈴とお札まみれの銃が特徴的です。
御陵ナグサが見つめる先、大きく燃え上がる街並みには、猫のようなシルエットが見えます。
猫と火と言えば火車という妖怪を連想します。火車は葬式や墓所から死体を盗んでいく妖怪です。この火事から何か、あるいは誰かの死体を盗んでいく何かがいるのでしょうか。
水面っぽくも見えますが、見えているのは髪の毛で、鈴は髪に覆われて暗くなっている、のでしょうか?
先ほどの怪我だらけの子も鈴をつけていたので、関連が疑われます。
碌でもなさそう。
百物語は、怪談を100個語ると本物の妖怪が現れるという肝試しの一種です。
エデン条約編3章での「私たちの物語を!」のオマージュであろうセリフで、この「百物語」には間違いなくルビがついているでしょう。
ベン図みたいなヘイローの生徒が、高所から火事を見ています。手にはキセルがありますが、普通の生徒がタバコを吸えるとは思えないので、雰囲気だけ、あるいは七囚人でしょうか?
そういえば、クズノハもキセルを持っていましたね。
黄昏と掲示された鳥居の上にクズノハが腰掛けて、キセルの煙をくゆらせています。背景はまさに黄昏時の様相で、鳥居の内側は長時間露光した星空写真のようになっています。
大雪原で忍術研究部が探していた、黄昏の寺院との関係が気になるところです。ここが黄昏の寺院なのでしょうか。鳥居の中がキヴォトスなのか、それとも他の場所なのかも気になるところです。
このスチルを区切りに、PVは百花繚乱と関係なさそうな話に進んでいきます。
4終幕
楽しそうですね。
アロナとプラナが空を見上げています。空には天の川らしき光の集合とたくさんの星々があり、またそれとは別に円を描く光の軌跡が見えます。
天の川の光り方からして夏の天の川だと思われますが、夏の大三角はなさそうです。もちろん、冬の大三角や冬のダイヤモンドも見つけられませんでした。この天の川は夏の黄昏の思い出(Blue Archive)なのかもしれません。
キリスト教において、星は万物の創造主たる神が造ったものです。創世記1章17節では「(前略)また星を造られた」とされています。
とはいうものの、キリスト教で星が話のメインになることはありません。これは星が非常に崇拝されやすい存在だからです。聖書では、主以外の神や偶像を崇拝することが強く禁じられています。モーセは申命記で星について以下のように話しました。
モーセと神が天体の偶像崇拝を警戒していたことがわかります。
ただし、星が悪いものとされていたわけではありません。星は神の凄さ、全能の象徴でもありました。
アロナ=連邦生徒会長=ナザレのイエスとするなら、このスチルで描かれた星は、主の威光を表す創造物としての星なのではないでしょうか。
「目を高く上げて、だれがこれらを創造したかを見よ。」という文言は神が預言者イザヤを通して、ヒゼキヤ王に忠告する言葉です。このときヒゼキヤ王は、病気のお見舞いに手紙と贈り物をくれたバビロンの王と仲良くしていました。ヒゼキヤ王はバビロンの王と同盟を結び、覇権国家アッシリア帝国と戦おうとします。
そこで神は、外国に頼るのではなく私(神)を頼るべきだ、と伝えたのでした。
アロナの瞳に映る星空は、何かの啓示を思わせるように美しく瞬いています。アロナはこの光に何かの忠告を思い出すのでしょうか?
デジタル腕時計の画面らしきスチルです。上方には謎のロゴがあり、真ん中には時間、その下にはJer 1:11と表示されています。最下にはACTIVATEDとあり、この画像では見えていませんが、その下には0.890679とあります。
Jer 1:11は旧約聖書エレミヤ書1章11節の意味だと思われます。エレミヤ書は預言書にしては珍しく、預言者エレミヤの伝記的な側面も持ちます。舞台はユダ王国のヨシヤ王とその子らの時代です。
ヨシヤ王は先ほど出てきたヒゼキヤ王のひ孫にあたります。ヒゼキヤ王の時代にイザヤによって預言された、バビロン捕囚(ネブガドネザル2世による侵攻)は、このエレミヤの時代に発生しました。
エレミヤはヨシヤ王とエホエアズ王の時代は平和に重用されますが、その人生の後半には民から迫害されたり獄庫に入れられたりと、散々な目に遭います。苦難の中でもエレミヤは心を強く持ち、神の言葉を語り続けました。
そんなエレミヤも、神から預言者となるようにと初めて告げられたときは、「私はまだ若くて」と弱音を吐きました。エレミヤ書1章11節は、そんなエレミヤを神が励ます場面です。
日本でアーモンドというと食用ナッツのイメージしかありませんが、ヨーロッパ圏では「見張り」の意味を持ちます。これはアーモンドの木が他の木々に先駆け、春の1番初めに咲くことから来ています。
余談ですが、画家のゴッホが大好きな弟テオの長男誕生を祝して描いたのもアーモンドの花でした。
アーモンドは新しい生命の誕生、春の象徴であり、とても縁起の良いものなのです。
いろんな奇跡を起こしたアロンの杖も、やはりアーモンドの木の枝でした。
このデジタル腕時計をつけているのは、4.5th PVの最後に出てくる女性です。彼女もアーモンドのの白い花を見て、「先駆け、見張る」者となったのかもしれません。
プレナパテスの死因であるシャーレの爆破……にしてはミサイルの爆発には見えませんし、それとは別の出来事でしょうか?
ショートカットの小鳥遊ホシノが、愛銃のEye of Horusを掲げて険しい顔をしています。背景の壁は砕け、切れたコードが垂れ下がり鉄筋が見えていますね。
小鳥遊ホシノの髪型と防弾チョッキから、過去ホシノであると考えるのが妥当です。今のところ過去に戻って爆破する意味がないので、現代での出来事かと思いますが、そうすると過去ホシノはタイムスリップしてきたのでしょうか?
黒をベースにところどころ白とオレンジが使われた、メカメカしいデザインの部屋です。色合い的にはデカグラマトンのカラーリングで、特に中心の円柱を囲むロボットアームは、ケセドの作るオートマタのカラーによく似ています。
中心の円柱の中にはロングヘアの女性が浮いています。円柱上部にある3つの大きな円は明らかに浮遊していますが、この女性のヘイローでしょうか。
その浮いている女性は、瞳孔に✖︎模様がありました。雰囲気はシロコ*テラーに似ていますが、ケモミミがついていないので別人でしょうか。
この女性がデカグラマトンの預言者であるなら、現状唯一人型であるマルクト(仮)ということになります。ただ、マルクト(仮)はもっと髪が短く、また背丈も低そうなので、確証には至りません。
デジタル腕時計にもあった謎のロゴがついた謎の箱です。
ロゴはアーモンドの花+方位磁針の意匠を合わせたものでしょうか。やはりアーモンドの花の「先駆け、見張る」という象徴が重要そうです。
それから、ロゴの下には文章があります。
THIS IS YOUR MAN
WHO BROUGHT YOU UP OUT OF HEAVEN
これはおそらく、出エジプトについての記述をオマージュしたものでしょう。
神は出エジプト記で、モーセと共にイスラエル人を導いてエジプトから脱出しました。これらの記述は、そんな神の恩恵を思い出させる言葉です。
ところが、この箱に書いてある文章では、EgyptがHeaven、つまり天国に変わっていますね。
これを訳すと、
「これはあなたがたを天国から連れ上った者である」
となります。
出エジプト記では辛い奴隷生活から連れ出してくれた良い出来事の記述でしたが、天国から連れ出したとなると、かなり悪い出来事になってしまいます。
元ネタと関連してモーセ=先生のことを指しているのか、状況から見てアロナのことなのか、あるいは先生の前のシッテムの箱の主のことなのか、疑問が膨らみます。
ちょくちょく出てくる連邦生徒会のすごくかっこいい部屋です。サンクトゥムタワーの光の軌跡が無いのが気になります。
端末の問題で見えませんが、机の上には箱らしきものが見えます。先ほどの謎の箱でしょう。
場面が切り替わると、空がティザーPV冒頭などで確認できる、水色の軌跡が特徴的なものに変わります。机の上から箱が消え、代わりに誰かが椅子に座っています。
Jer 1:11の腕時計をつけた金髪の女性が座っています。ぱっと見、連邦生徒会長に似た印象を受けますが、マントを着けている・インナーカラーではなくメッシュ・勲章の形が違うなど、よく見ると全然違うことが分かります。
首元につけた勲章は十字に斜め線の形で、一方の針先にだけ色がついているという点で、方位磁針を想起させます。
正直誰なのか全く検討もつきませんが、連邦生徒会であることは確かなので、やはり平行世界の連邦生徒会長、あるいはその代理でしょうか。
以上、PV4.5ガイドでした。
あまりにも長かったです。とりあえずあのロゴがアーモンドの花をモチーフにしていることだけは間違いないので、「先駆け、見張り」だけ覚えておくと、楽しいかもしれません。
あとがき
ご覧いただきありがとうございました。もしこの記事を読んで、ブルアカへの認識をより深いものにできたなら幸いです。
ちなみに、ブルアカが聖書を完全に踏襲しているかといえば、そんなことはありません。そもそもキリストは生徒会長でも女の子でもないですしね。とはいえ、キリスト教、特に初期キリスト教(ユダヤ教イエス派)のエッセンスはたくさん含まれていると感じています。
新約聖書はともかく、旧約聖書をあらすじだけでも見ておくと、いろいろ妄想が捗りますよ。
2023年5月31日 21時前
梅雨の到来を悲しみながら
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?