ベンチャー企業に就職した友人の末路

「大手なんて歯車じゃん。俺は自分でビジネスを動かしてぇんだよ。何丸く収まってんだよ。だせえなあ。」

口を開けばこんなことばかり言っている同じゼミ所属の知人がいる。彼は3年の夏、とあるベンチャー企業のインターンに行き、そのまま就活をせずそこに就職した。従業員50人程の会社だ。彼と会うたび、社長と独自開発の製品が如何にすごいかを熱弁され、当時から彼とは合わないなあと思っていた。

彼は附属校出身だった。ストレートに言うと、彼はあまり知的ではなかった。論理的に話せず、ペーパーテストも全然できない。そのくせプライドだけは高く、彼は自分が劣後していると周りから思われることをとても嫌がった。そんな感じなので当然に教授からも嫌われていた。よくこんなやつに内定を出す企業があるなと僕は心から思っていた。

その後、僕たちは大学を卒業し社会に出た。最初の数年間、私は無我夢中に働き、休日も資格の勉強に追われた。残業も月100時間がアベレージだった。

彼は「そんなに雑用みたいな仕事しても市場価値上がんねえだろ。」とか、言ってた。そのうえで「俺は今こんな案件を手がけている。」などという話を、こちらの話もロクに聞かず延々としていた。入社2年目のころ、ゼミメンバーで集まった際での出来事である。

尚、起業した1人とベンチャーに行った彼を除き、全員が大手企業に就職している。

この頃はまだ賃金格差も少なく、年収は400万-600万くらいのレンジだった。

30歳を過ぎ、彼は集まりに来なくなった。彼は別のベンチャー企業に2度転職していた。役職はシニアアソシエイトらしい。毎年恒例の彼が来なくなった飲み会で、友人の1人がオープンワークを使い彼の所属する企業を検索した。激務薄給、スキルは付かずに社員は使い捨てとの書き込みが散見された。シニアアソシエイトの年収は450万ほどらしい。今ここに集まっている友人は全員800万を超えている。美味しいお店の話は残念ながら彼とはできない。仕事のスケールも責任も気がつけば大手組のほうが圧倒的に大きくなっていた。

そういえば最近、友人の1人がベンチャー企業に満を持して転職した。某金融機関からの転職である。役職は執行役員兼部門責任者。大手企業で専門性を磨き、チカラを付けたからこそのヘッドハントである。

話を戻して終わりにしよう。彼は今、周りからこう言われている。

「尖り続けて己を貫いてきたのに何ずっと底辺にいるんだよ。だせえなあ。」

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