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陰謀論を指摘してみる-遺伝子編

そういえば忘れてたシリーズの続きを書きたい話。

一応、シリーズの3作と題していて内容もなんとなく決めていたので、続きを書きたいと思います。一応、前作のリンク(マイクロチップ編)を貼っておきます。

さて、今回は遺伝子編になります! 個人的にはちょっとだけほんのちょっとだけ勉強した分野なので、この分野の陰謀論には関心が強いです。というのも、先天性の病気にかかった子とボランティア活動通じて接したことがあって、遺伝子分野がもっと発展すればこの子たちの苦労はマシになるのかなと思うことがあったからですね……。

さて、この話を掘り下げるとシビアな内容になるかもしれないので、普通に掘り下げていきましょう!
最近は流行りですね! やっぱりワクチンのせいなんでしょうか? それも日本で接種のすすむワクチンがmRNAワクチンだからなんでしょうね。あるあるなのは、ワクチンを打つと遺伝子が変わってしまう系ですかね。なんかTwitterではゾンビされるとかミュータントにされるとか、寿命が2年になるとかありましたね。もしも寿命があと2年だったら、医療従事者が沢山減るのでそれはそれでその世界を見てみたいものですが。

まずは私の知っている知識だけで考えると、DNAやRNAと言われる遺伝子は核酸と言われますが、これを編集する技術は発展途上にあると思いますね。例えば、今接種が勧められるmRNAなんかもまさにそれで、実際のウイルスの抗原になる蛋白をコードしているRNA配列を再現して、それを接種することで抗体を作って、発症予防・重症化予防をしましょーという話ですしね。
ただこれは同定して、その遺伝子(核酸)を人工的に作っているので、俗に言う改造だったり編集だったりとは異なると思います。

積み木で例えるなら、0から積み上げていくのと、積みあがった積み木の一部を他の積み木と入れ替えるようなものです。違う技術が必要となります。一部の遺伝子の配列を分解して違う配列を貼り付けるという作業は非常に難しい。またコアな話をすればDNAとは二重らせん構造という2つのDNAがねじれ合って出来ていて、一方のらせんのみを編集することが出来ても、もう一方との接着が悪くなって壊れてしまう。

人間やその近縁種ってなんだかんだ言って結構長いこと存続してますからね、簡単に編集できるような構造の遺伝子じゃ、ほぼ同じ構造のまま種を繁栄できないわけですしねー。

なので、遺伝子を書き換えるというのは現時点ではまあ無理なんじゃないかなとは思います。ただ前回同様に書き換えるのは無理だーで終えるのは私の主義じゃないので、私の知っている限りで可能かも知れないなーと思うことを書きますね。

①遺伝子を壊すまたは壊れる機会を作ることは可能
実際の病気でメジャーなものとして、癌っていうのはありますよね。あれは体の中で偶発的に起きた異常な遺伝子があって、本来なら体の防衛システムで排除されるはずだったがそれをすり抜けて癌になるパターンがあります。
となれば、「遺伝子の偶発的な異常が起こりやすい状態にする」or「遺伝子の異常を検出し修正する防衛プログラムの邪魔をする」という方法を使えば遺伝子の一部を書き換えたり壊したりは可能だと思います。(というか、それが癌の原因なんですが)。具体的には一部のウイルスへの感染や放射線被曝などがまさにそれですよね。

ただ確かに書き換えや壊すは可能ですが、それを指定した部位におこすのは難しい。現時点で、書き換えられやすかったり壊れやすかったりする遺伝子の場所はあると言われていますが(そこに異常が生じたら病気になりやすいという意味でもあるが)、それでは俗に言う陰謀論の言うような書き換えは難しいのではないでしょうか?(個人的にはほぼ不可能だと思います)

②遺伝子を足すことなら多分可能
これは人間の話ではないのですが、一部の青い薔薇の作成技術や一部の蛋白質性の医薬品の作成で使われている遺伝子でプラスミドというものがあります。すべての青い薔薇に使われている方法ではないのですが、青いパンジーから抽出した青の色素の遺伝子を小さな環形の遺伝子に入れて、白いバラの内部に入れる。つまりは、細胞内に元々のバラの遺伝子と外から入れた青い色素を作るための小さな遺伝子(プラスミド)を入れることで、青い色素も作らせて青い薔薇にするという方法ですね。
他にもインスリンなどの1例なのですが、標的のタンパク質の生産のための情報が書かれた遺伝子(プラスミド)を微生物の細胞内に取り入れさせることで、人間が人工的に作るのが難しいタンパク質を微生物の力を借りて、産生する方法があります。つまり、既存の遺伝子を書き換える技術が無理でも、外来由来の遺伝子を細胞内に入れる技術はあると言えます。

おお、じゃあ実質的に遺伝子を書き換えるに似たようなことができるやん! と思った人もいるかもしれませんが、そんなに単純じゃないという感じなんですよね。人間は微生物や植物ほど、そういう部分は単純じゃないですね。
まずは異物である遺伝子を排除する仕組みをすり抜ける必要がありますし、遺伝子が入ってもそれが希望する形で複製してもらえるかの問題もあります。かなりコアな話になりますが、タンパク質には三次構造と四次構造があって、単純にアミノ酸の並びであるタンパク質をその通りに並べればいい問題ではなく、その後そのタンパク質が理想的な形にならないと機能を持たないですし、タンパク質が複数組み合わさって機能するものもあるわけで、それらをすべて指定するプラスミドが製作可能なのか……という問題点が上がります。逆に言えば、このような問題点から、微生物に頼れずに人間由来でなくては作れない蛋白由来の医薬品(アルブミンとか)があるということでもあるんですが。

遺伝子が書き換わる系の陰謀論の難しさがわかっていただければ、幸いですね。
ちょっと最後に話したい内容(おまけの部分があるので、そこまで乏してもらってもいいです)があるのでそれをつらつら。ほぼほぼ感情論です。

私は遺伝子系の陰謀論を聞くと正直色んな意味ではとんでもない嫌悪感を覚えます。それは冒頭の話になるのですが、もしもそんな遺伝子の書き換えが可能なら、あの子たちはなんで苦しんでいるんだっていう話なんです。生まれてから、人と違って、他人に必要のない治療を受けなくちゃいけなくて、その一部には寿命まで短いと決まっている。それを治す手立てとして期待されている遺伝子学の分野に対して、調べてみれば何の専門家でもない陰謀論者があーだこーだといい、遺伝子が書き換えられるなんていうこという。これは陰謀ではなく、ただの冒涜に思える。
確かにこの世には隠された技術や確立していない治療法はあるでしょう。私を含む専門家でもない人が、「こんな技術があれば、自分・家族・恋人は助かるのに」っていう気持ちを煽るのが許せない。もしもそんな技術があって、そこに善意しかないなら泥棒でもハッキングでも何でもして、奪ってきて世の中に流布して欲しいとさえ思う。並べるだけ並べて、不安や希望を煽るだけ煽って、そういうのはとても嫌いです。だって、人命が関わっているのだから。
ただ陰謀論のいいとことして、陰謀論が「隠されている」と考えるのではなく「未来の話」と思うと結構いいと思うんですよね。マイクロチップの時も話しましたが技術革新で可能になっていくであろう技術が陰謀論には使われていて、その技術の使い方は(善悪は置いといて)普通に有用性が高いものが多い。というか、普通に明るい陰謀論とかないんですかね?

おまけとして、前回の陰謀論を指摘してみるに「ナノチップ」というものがあってそれなら注射可能という話がありました。そうなんですね。確かにそうかもしれないです。でも、ぶっちゃけあの文章で話したいのはそこじゃないんです。わかりにくくて申し訳なかったです。
チップを埋めても、それに情報媒体以外の機能を入れるのは、チップが大きくても難しい。具体的には記憶を電子媒体に保管可能な数列に変える機械・その数列をチップに記録する機械・それらに電気を流す機械・生体エネルギーを電気に変える機械、これらもナノチップ化しないといけない。上にあげた技術は、大型の機械でも実装されていないものも多いはずですしね。
もっと言えば、脳の信号が電気刺激だからそれを記録するなどは可能かもしれないですが、そうなってくるとやっぱり頭にチップを入れるということになるでしょうし、そうなると体のどっかに注射してチップ入れるのではなく、眠らせてある程度の大きさのモノを体表からは感知不可能な部分に埋める方が現実的ですし、そうなってくるとナノサイズである必要が……。

まあこれは最終章の「陰謀論を指摘するシリーズ」の内容になるのですが、陰謀論は全般的にコストがかかりすぎですし、計画性がなさすぎなんですよね……。
前回のマイクロチップの陰謀論の話にすると、じゃあナノチップがあって、その周辺技術もナノ化できて、簡便に注射で人体に入れられるとしましょう。別に脳に埋め込めなくても機能するとしましょう。じゃあ、そんなチップを作るのに1個何円かかるの? それを日本人口分または世界人口全員に埋め込むのか? 上の仮定の下で、一部の要人に埋め込んで監視するとかならわかるんだが、一般人の大量監視には向かないんじゃね?
今回の遺伝子にしても、注射という方法で遺伝子改変が可能なら、色んなタイミングで注射できただろうし、わざわざワクチンなんかにカッコつけなくてもいい訳で。

うーん、まあこの辺の詳しいとこはまた次の記事で~

はい、今日の希哲学者でした。また不定期になんか意味の分からんことを書きます。

写真:意味なく味噌カツサンド

→次の話

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