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某プロテニスプレイヤーの「うつ」について考える

実はこの話ってすっごく複雑だと思う話。

某プロテニスプレイヤーの「うつ」について考えるのだが、話の争点が一転二転しそうなので、あらかじめ今回のアジェンダを先にあげておこう。①そもそもうつ病なのか、②精神障害とプロスポーツについて、③私の感想、この点について考えていこう。

①そもそもうつ病なのか? 結論から言えば、私の考えでは彼女はうつ病ではないけど、Depressionではあると思う。いやいや、Depressionってうつ病の英訳やん? どゆこと? って思った方もいます。そこを話したいと思います。

実は「Depression」は「うつ病」を示す英単語でありながら、うつ状態や抑うつなどの意味があります。つまりは日本語ではいくつかに細分化されている概念を、英語のDepressionはそれらを包括している大きな概念なんですね。つまり、うつ病に悩まされていると、Depressionに悩まされているは似ているようで、結構認識のずれがあるということです。

おそらくプロスポーツ選手の彼女は、一時的に病的に落ち込む、俗言う「うつ状態」になることがある。しかし、それはスポーツをする上では(物理的に運動する上では)大きな障害になっていない。(実際には2年間、わかりやすい休息も取らずに最前線でスポーツをしている点より) もしも日本で診断名をつけるなら気分変調症(うつ病の判断基準にはならないが似たような症状を起こす類縁疾患)、またはスチューデントアパシーのようなもの(学生が引きこもりがちになり、勉学が出来なくなるが趣味は継続できる状態のスポーツ版)になったのではないか? というの私の予想です。実際のところ、典型的なうつ病は日常生活広範に障害が出るので、テニスは続けられないと思うので、少なくとも典型的なうつ病じゃないと言えると思う(日本の診断基準では)。

日本のマスメディアはその微妙なニュアンスの違い(文化や言葉の意味の解釈)が伝えきれず、SNS上で彼女は「うつ病じゃない」「仮病だ」っていう声が上がっているのだと思います。私の結論としては、彼女は「日本の診断基準のうつ病ではないが、類縁疾患に罹患しているのではないか? それをアメリカではDepressionという言葉で一緒くたにされている」と考える。

では次に②精神障害とプロスポーツについて、考えていきたい。某アスリート兼タレントの方がSNSに投稿していたが、プロのスポーツ大会では参加するタイミングで取材に対応することなども約束として取り交わされているはずである。記者のリテラシーは一度置いといて(あとで回収しますが)、それを放棄することはプロスポーツ選手としては十分とは言えないと思います。取材でもスポンサーやファンは何かしたの利益を得るわけですからね。

記者のリテラシーについてはやっぱり再認識が必要ですね。最近では「マスゴミ」というネットスラングがあるように、近年のメディアは週刊誌・テレビ・新聞などのほとんどの報道媒体でその報道方法や倫理観が問題になっていると思います。またそれらに対する個人の感想が電子メールやSNSの発達で直接本人に届くようになってしまった。それは時に励みになるかもしれませんが、同時に誹謗中傷を生むきっかけになる。

彼女のような繊細な気質をもつ人間がスポーツ選手になる可能性は多分にあるわけで、スポーツ業界はもっとそういう人物が活躍しやすいように個人レベルでの精神的支援・精神的な問題が生じた場合の逃げ道を用意すべきだと考えます。精神的支援はカウンセリングのような精神的なバイタルチェックを、逃げ道としては(例の某アスリート兼タレントの意見を借りれば)賞金を減額しスポーツ普及事業や他選手に回す代わりに取材を受けなくてもよいみたいな制度を導入する、などをするのがいい気がします。

最後に③私の感想、ですがここに関しては不快感を覚える方もいるので、特に彼女が好きな方には失礼かもしれないので、先にお断りしておきます。私はなんか後出しじゃんけんっていう感じが正直否めなかったです。

世界的なテニス協会から「これを繰り返すようであれば出場停止も考慮する」という声明が出てからの告白であり、辻褄を合わせているようにも聞こえてしまった。もちろん、本人の責任感・スポーツを続けたいという欲で発表や休止ができず、今回必要に迫られた結果として、告白の至ったのかもしれないが、にしてももう少しどうにかならなかったのか、というのが率直な感想だ。

そして彼女が精神的な障害に悩まされていることを事実としたうえで、この感想に付随するものは、彼女もだが彼女の周りのサポートやマネジメントをしている人は彼女の精神的な健康状態を見て、もっと早くストップをかけてあげられなかったのか? と思う。ある意味で、自分の健康状態を評価して休養を選択すること、またはそれが出来ないならそれを客観的に評価してくれる人を周りに置く、ということがプロのすべきことなのかもしれないとも思った。

私が思う今後彼女がした方がいいことだが、やはり精神的に悩まされているのなら休養をした方が良いが、同時に「日本人」として試合に出ている以上は日本のファンが安心して彼女を応援できる環境を作るために、日本でも診断を受けた方が良い気がする。「アメリカではDepressionで休養が必要と言われました、日本でも○○という精神障害と言われ休養が必要だと言われました」という状況を作った方が良いと私自身は思います。

さて、素人が自分の知識と他人から聞いたことを組み合わせ書いたので、本質をどこまでついているかは不明ですが、これはいい意味でも悪い意味でも「言語による解釈の違い」と「プロスポーツと精神障害」について考えるいいきっかけになったと思う。

彼女は日本の宝であると思う。だから、良い結末を迎えることを心から望んでいます。

はい、今日の希哲学者でした。また不定期になんか意味の分からんことを書きます。

写真:江ノ島に繋がる橋を江ノ島側から


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