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留年してよかったこと3選。

春が来て、学年がひとつ上がる。ほとんどの学生にとっては毎年の恒例行事だ。私も今年は進級できて、もうすぐ学部4年になる。先生方のおかげです。長いこと学部生の籍をひとつ占有してしまってすみません。過年度生(留年)が多いと、全体の人数を保つため、新入生の数を減らすと聞いたことがある。こんな形で高校生たちの希望を奪うのは全く良くない。私にできるのは、一刻も早く卒業することだ。

さて、留年した人にしかわからない、留年ならではの利点というものがある。というか、他の過年度生がどうなのかはよく知らないが、少なくとも私はそうだ、というものを挙げてみた。留年をすることは全然おすすめできないが、もし運命から逃れられなかった人がいたら、こういうこともあるよと、伝えられたらと思う。

1.先生方に顔と名前を覚えてもらえる。

私の学科は一学年100人ほどで、人数が多い。コミュニケーションのプロでもない限り、同期でさえ顔と名前を一致させるのは至難の技だ。当然、先生方はさらに大勢の学生を教えているのだから、覚えてもらえていなくても無理はない。しかし、同じ授業を何度も再履修していると、さすがに目立つようだ。学期の初めに先生と目が合うと「どうだ?元気にしているか?」と声をかけてもらえたりした。

あるとき、2年ほどお会いしていなかった先生と久しぶりに授業で会った。先生が「別方面からお名前を聞くので、元気にしているかと思っていましたよ」と仰っていたので、問題児についての世間話でもどこかでされたのだろうかと思っていた。しかし最近になって、教員会議で私の成績が話されていたらしいと知り、大変申し訳なく思っている。

2.幅の広い繋がりが作りやすくなる。

まず、上の繋がりができる。というか、友達が自動的に先輩になる。友達の友達も先輩になっているので、上の学年の方と接する機会が増えた。また、実験のイベントに参加した時に、TAさんが同い年や一つ上だったりして、私の方から話しかけやすかったりした。私の場合は、相手が先輩だからといって必要以上にかしこまったりすることがなくなった。これは良かった点だと思う。

難しいのは、自分がひとつ(またはそれ以上)学年が遅れたことで、同じ学年になった学生さんとどう友達になるかである。これがなかなか難しくて、そんな機会はあんまりない。研究室決めなどで情報は欲しいし、もちろん普通に友達が欲しいけど、すごーーーく話しかけづらい、という悩みは結構つきまとった。

幸い、学生実験で実験班が同じになった人たちが明るくて、わいわい話すことができた。私は教室の前の方の端に座ることが多かったが、その日から、その学年に混ざって授業を受けても疎外感や孤立感を感じることは無くなった。他にも、興味を持って話しかけてくれた人もいて、その友人にはレポートや出欠などで度々お世話になったりした。

大学3年の年は、新しく知り合った人に自己紹介する機会が多かった。「本来なら修士2年の年齢」であることは、その場の雰囲気とノリに合わせて言ったり言わなかったりした。「俺も今年でアラサーなのか、、」と黄昏れる同い年のTAさんに「やめてくださいよぉ!?」と返したりできるのは、なんだかんだ留年の特権(?)である。同時に、同じ分野を目指している大学3年生の人たちと出会い、今どういう勉強をしているとか、他大の研究室見学はどうしたとかを話したりすることもできた。学年や年齢の異なる人たちと気軽に喋れるのは、皆が違う視点を持っているので面白かった。

3.情報を入手しやすくなる。

先人(という名の友人)から情報を仕入れやすくなる。これは、本当に有難い。なんの授業の試験が難しいとか、大学院に行きたいけど奨学金は貰っているかとかの質問をすることもあるし、友人の話を聞くこともある。今の時期は周りの人の内々定が決まってきて、でも私の本命はもっと先の時期に募集があるから、と話す友人の横顔を見て、こちらも少し勇気を貰ったりする。

私の周りは、私がこれから立ち向かう困難をすでに乗り越えてきた者達ばかりになってしまったから、一人で心配したりしなくてもいい。少なくとも、先の見えない未来に対してそんなに怯えなくていいし、大変だとしても死にはしないようだと分かる。

もちろん、同学年からの情報収集も大事だと思う(特に、成績で殴り合いをするような研究室配属のような場面では)。モチベーション上げという面では、同じタイミングで院試を戦ったり卒論に追われたりする仲間がいると、一人じゃないとわかって心強いと思う。

おわりに: 4.ふと感じる寂しさに慣れて、自由に行動できる。

春になると、友人たちが次々と進路を決めている様子が、Twitterから、世間話から、垣間見える。彼らの背中が遠ざかるのを見つめるのも、もう慣れっこになってしまった。卒業、院進学、就職、、、それらは、数年前の私にとっては全く手の届かない、空の星のようなものだった。皆が先に行ってしまい、取り残された寂しさと毎日戦った。友達と時間が合わなくなり、一緒にご飯を食べることも、喋ることも、帰ることもできなくなった。ひとりでキャンパスを歩くのが、最初は怖かった。談笑しながら歩いている知らない学生を見ると悲しくなった。今は、コ口ナで大学に通えない時期もあったし、もう全然平気だ。どこにも属さなくていいこの気ままさを、心底楽しんでいる。

過去の自分と、これから頑張るあなたへ。
今いる環境を活かして、精一杯前を向いてください。それがあなたの自信と経験になるはずです。応援しています。



読んでくれてありがとうございました!!右下のいいねボタンを押して出てくる言葉は、私の好きな各国のことわざです。 しんどいことも多いですが、気長に、気楽にやりましょう〜。