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AG#8 Ibanez CONCORD 698M

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Specification

トップ:スプルース
サイドバック:メイプル
ネック:メイプル
スケール:648mm (25 1/2")
フィンガーボード:ローズウッド
ブリッジ:ローズウッド
(アジャスタブルサドル→ノーマルサドル)
ペグ:オリジナル → GOTOH
1970年代前半製

About

星野楽器が「輸出用ブランド」として持っていたIbanez。もともとは国内卸の神田商会が富士弦にOEMで作らせていたものらしい。同系列でMaxonもIbanezブランドで海外販売されています。このブランド、当初日本では「イバニーズ」と呼ばれていました。国内ではたぶんオフコースの使用で有名になり、その後「アイバニーズに統一ね」的な広報がなされて呼び名が変わりました。輸出用ブランドのため、日本よりも海外のサイトで見かけるのも面白い点です。

Story

今はもう全然違う光景ですが、別府には駅から海に向かった方角に線路と並行したアーケード街があるんです。子どもの頃には、ここが観光客、地元客で文字通り溢れていた。たいそう活気のある場所でした。

そのひとつ、やよい銀天街の中にレコード屋があった。アベ楽器だったかな?僕が出入りしていた頃はレコードメイン、少しギター、アイドルグッズの置いてあるお店でした。ある時そこに中古レコードのワゴン(段ボールだったかも)があった。中古レコードという売り物をそこで初めて見た。今みたいに「リサイクルショップ」なんてない時代。そのワゴンの中にあったのがガロライヴ。買おうかどうしようか迷って1週間後行ったら売れていた。この時の体験がのちに「見たときに買わないと」「買わずに後悔買って反省」みたいな考えのもとに…😅結局、その数年後、大学時代に中古屋巡りして集めたのですが、このライヴの中ジャケット、そしてガロの3枚目のアルバムジャケットで、トミーこと日高富明氏がこのギター(色はナチュラル)を抱えているんです。

当初はギブソンだと思っていましたが、ある時、知り合いから、ガロが大分に来たとき楽屋に遊びに行ったら(のどかな時代^ ^)トミーが「これグレコなんだよね」と言った、と聞いた。昔、ガロファンページっていう素晴らしいサイトがあって、ここにそれを書き込んだら「あれはイバニーズだ」と。シングル盤「涙はいらない」のジャケットではっきりとIbanezとロゴが読めるんです。確かに。

トミーは日本にヴィンテージレスポールを紹介した、日本のギターの歴史を変えた、といっても過言ではない人物。であるならば、ギターに関してウソを言うはずがない。あれこれ調べてみて、ようやく上で書いた「神田商会」と「星野楽器」の関係が判明。

この個体は、偶然友人のお店にあるのを発見して、譲って頂いたもの。マークさんが亡くなった少しあとだったので、勝手に運命的だと思ってます^ ^。引き合わせてくれたのかもしれません。ライヴ盤の「美しすぎて」のイントロの音は僕の「低音」の基準音なのですが、マークのD-45ではなく、このギターの音なのかな、と。トミーの張り方を真似してライトの112345と張っています。今ならエクストラライト張ればいいのにね^ ^

70年代のギターは完璧にコピーしきれていないというか、つい職人魂が出てオリジナルに走っちゃうきらいがある。このギター、本物とは指板エンドがちがうんだけど、そこはシンプルなのに、なんとピックガードが螺鈿細工。本物よりよくできています。もう力を入れるポイントがわからない(笑)。

カタログ(webでたくさん、特に海外の人が上げています)上はサイドバックの材が色によって違う(ナチュラルがメイプルでサンバーストはマホガニー)はずだけど、なぜかメイプル仕様の不思議な個体です。在庫処分期のものなのかな。製造時期を70年代の前期としてありますが、その理由は、本家に合わせて、ブリッジ形状が途中からいわゆるJ-200アーティストと同じ形状になっているんです。これは貴重なトミーと同じ初期のマスタッシュバージョン。60年代最後期のコピーですね。トミーはサドルをスキャロップみたいに加工して「この方が音の分離がいい」と言っていた、と見た人が教えてくれたのですが、形状がわかりません。ご存知の方がいれば教えてください。このギターは名工日高雅樹氏の手により埋木をして通常のサドルを搭載しています。

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