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ケニア野生生物公社のコミュニティ事業

ケニア野生生物公社 (Kenya Wildlife Service) は私の配属先でもある、国立公園を管轄する国営企業です。今日、紹介していただいたKWSの職員さんに会ってお話を伺う機会がありました。彼女は今KWSのHead quartersで、Community care部門で働いています。何それ?何するの?どんなところ? とたくさん教えてもらったので、今さらですが、少しKWSについて調べてみました。

KWSはKenya Wildlife Serviceの略称で、日本語にはケニア野生生物公社と訳されます。ケニアの野生生物保全管理のため、国立公園などを管理するのが主な仕事です。細かい企業理念などは公式ホームページをご覧ください。てっきりKWSの業務は国立公園内にとどまると思っていたのでですが、どうやらそうではないようです。

おそらく公園外の業務を担う部門の一つが今日お家に招待してくれた彼女が働くCommunity Care部門。主な仕事は特に野生生物に近い環境に暮らす住民のサポート。野生生物による被害 (死傷など) の賠償や、彼らの生活とぶつからずに収入向上するための支援を行います。公式ホームページのCommunity projectsのページを見てみると、

■教育: 教育インフラ支援として、教室や寮などの建設を支援し、若い子供達に保全の概念を教えることによって、草の根的に将来の環境保全に対する態度の改善を図る。
■水: ヒトろ野生生物の間で問題になる環境資源の一つであるため、野生生物がヒトや家畜に害を及ぼす可能性のあるエリアでは井戸を掘ったり、ヒトが安全に使えるエリアへ水を通したり、場合によってはトラックで運んだりする。
■健康: コミュニティに診療所を建設し、適切な医療を提供することを支援する。具体的には、担当省庁に掛け合い、医療従事者の配属を促す。
■フェンス: 中央政府の支援を受け、ヒトと動物の衝突が多いエリアにはバリアを建てることで、野生生物による作物や建物の被害を軽減する。主に、太陽エネルギーを用いた電気柵か堀が設けられるが、電気柵の方が好まれる。
■その他: 緊急避難や干ばつ時の緊急支援、コミュニティを支援するチャリティーへの寄与など。

(ホームページから筆者要約・翻訳)

その他、今日聞いた話によると、ロッジを建ててエコツーリズムなどの観光を呼び込む支援をしたり、バスケット作りなどの収入向上支援をするそう。野生生物と衝突しないやり方で生活できれば野生生物守られるよね、野生生物を必要とする生業 (観光など) だとなおのこと野生生物を大切にするよね、とのこと。正直できてる、できてないは置いといてもここまで考えて国として動いている国・機関に協力隊員必要ある?と思ってしまった。

まだ配属前、任地にも行っていないのにそんなこと言っていてもしょうがないので頑張りますよ、私は。きっと大事なのはその素敵なビジョンをどう具体化していくかということ。観光に頼りすぎてオーバーツーリズムにさせないこと。

ちなみにこのKWSの活動の背景にあるのは、ケニアでは2番目に大きい産業が観光業で、外貨取得の21%、GDPの12%を観光業が担っているということ。その観光の主たる目的は野生生物を見ること。そのためKWSは国土の約8%を23の国立公園や28の保護区、4の保護区域などとして管理し、観光業の90%、観光による収益の75%に関わっているのです。

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