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ゆるっと映画レビュー:セブンイヤーズインチベット

第二次世界大戦中に行われたナチスドイツのホロコーストという悲劇。その政策を支援していた若き天才登山家のハインリッヒ・ハラーが時代の渦に巻き込まれ、様々な苦難を乗り越えた末にチベットに辿り着く。そこで、超自己中なハラーが、チベット人の素朴なやさしさ、誠実さに触れ成長していく物語。

世界で最も高い場所に位置する国で生きる人々は、一番や頂点を目指すのではなく自我を捨てることを人生の目的とし、厳しい自然と共存し、菩薩の生まれ変わりと信じられているダライ・ラマを尊んで生きている。
ミミズ一匹の命も大切にして生きるチベットの人々。

そんなチベットを中国が暴力によって侵略していくシーンには、心が本当に痛んだ。チベットの文化やチベット人の人権を踏みにじる場面では怒りすら沸く。しかし、歴史をふりかえれば、日本はアイヌ民族を追いやり、アメリカもインディアンを追いやり、植民地政策に、ホロコースト、侵略は世界中で行われてきたわけなので、中国ばかりを責めるのもアンフェアだなと思った。

しかし、ダライ・ラマがたった15歳で政治的な最高位の職に就き、国のリーダーとして最善を尽くす姿には心を打たれる。またダライ・ラマ役の子がかわいいんだ。目がキラキラして。

人の心を芯から鍛え、愛をもって他人の幸せに尽くす。宗教本来の素晴らしい部分だと思う。

作中には描かれていないけれど、ダライ・ラマは、命を守るため、国を守るため、最終的にインドへ亡命をしなくてはならなくなる。そして、亡命後もチベット仏教とチベットの人々のために尽力を尽くすダライ・ラマに強い興味を覚えた。

世界中のすべての文化と、すべての人々の人権・幸せが尊厳され、平和で愛に満ちる日が来ることを祈ってやまない。

そして、ダライ・ラマも、一歩表舞台から下がれば、広い世界に興味を持つ好奇心旺盛な少年である。映画の中では、そんな少年ダライ・ラマがハラー氏と友情を築き、ともに成長していく姿がまた良い。



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