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RONI
2022年3月9日 14:10
学生時代に中古で買ったというボコボコのラクティス。後部座席にはなんとかチャイルドシートが押し込められている。その隣の隙間に身を埋め、車窓に寄りかかりながら浅く呼吸を繰り返す。狭い車内にいつになく苛立つ。少しでも車体が揺れると吐き気が込み上げる。夫はそんな私が醸し出すただならぬ空気を読んでCDを換えた。フレディ・マーキュリーが歌う。15年間愛してきた歌声でも私の動悸は止められない。2021年3月9
2022年3月2日 12:35
「がんです。余命は3ヶ月程度でしょう……」「そんなっ…先生!!何とかならないんですか?!」これが私の「がん告知」のイメージだった。でも現実は、そんなイメージにありがちな真っ白い壁に真っ白い机、大写しのレントゲン写真もなく、薄暗く生暖かい部屋で一言、「残念ながら悪性でした」と告げられただけだった。そして私は、医師がそう口を開く3秒前に、机上のパソコンを盗み見て「悪性です」の文字を目ざと
2022年2月16日 12:30
街の小さな乳腺科で、たった30秒ほどのエコーで7割方乳がんだと言われてから、私の毎日は癌一色になった。あの日から、数日に渡りがんセンターで検査を重ね、確定診断が出て告知されたのが3月2日。それまでの3週間と少しの日々は、とにかくつらかった、ということ以外思い出せない。思い出そうとすると、取り返しのつかない過ちを振り返るときによく似た胸の痛みに軽い吐き気がする。それほどまでに感情が揺さぶられ