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RONI
2023年11月2日 19:04
ピロリン、ピロリン、と形容するには、あの音は高すぎる。神経質な小鳥が、寝不足のために喉をやられたような―――つまり今の私のような―――掠れた甲高いさえずり。強いて書くなら、「キィロリン、キィロリン」…あの音の無い病床はなんと心穏やかなことかと、針の食い込んだ手の甲の痛みを庇いながらうつらうつらしていた。それが火曜日のことだった。町の内科医は半覚醒の私の枕元までわざわざやってくると、「13,00
2022年2月16日 12:30
街の小さな乳腺科で、たった30秒ほどのエコーで7割方乳がんだと言われてから、私の毎日は癌一色になった。あの日から、数日に渡りがんセンターで検査を重ね、確定診断が出て告知されたのが3月2日。それまでの3週間と少しの日々は、とにかくつらかった、ということ以外思い出せない。思い出そうとすると、取り返しのつかない過ちを振り返るときによく似た胸の痛みに軽い吐き気がする。それほどまでに感情が揺さぶられ