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【京都】京セラ美術館/フランソワ・ポンポン展



ポンポンと出会ったのは、フランスを旅していたとき。


オルセー美術館で、ひときわ大きい展示を見上げた。


あ、シロクマ。


その優しげな表情、なめらかな輪郭、あたたかみのある乳白色。

時がとまったみたいに惹きつけられた。

硬いはずなのに柔らかそうで、
完全にデフォルメされているのに、
動き出しそうな本物感。


オルセー美術館での時間のほとんどを、ポンポンのシロクマの前で過ごした。



ポンポンの作品はシンプルで、完全なるデフォルメが特徴的。
必要な線は全てあり、不要な線はひとつもない。

「どの線がその形をその形たらしめているのか」
ということを見抜く天才性があるということ。


私たちがシロクマをシロクマと認識するために必要な要素は全てあるけれど、それ以外の要素はなにもない。

その、必要十分かつ過不足がないことが、こんなにも心地良いということを教えてくれる。





あれから約10年。

日本でポンポン展が開かれるということで、京セラ美術館に行ってきた。



リニューアルして、随分きれいになった美術館に、ポンポンの作品群が展示されていた。


会場には大きなシロクマのレプリカもあって、とてもかわいい。
洋風な館にポンポンの作品はとてもよく似合っていた。


久しぶりに見る、ポンポンの彫刻。

シンプルな輪郭。

それでいて、ずっしり、質量を感じる迫力。
今にも動き出しそうな躍動感。


艶やかな曲線に、改めて魅せられた。




ミュージアムショップでお土産を買った。


素敵な空間の欠片をもって、
日常までの帰路につく夕暮れ。




ロン204.

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