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極大イデアルの存在〈龍孫江の環論道具箱〉

 整数は素因数分解できることを証明し,この証明を一般の場合に拡張したいと考えています.この証明の要点は

  • 整数$${n > 1}$$はある素数$${p}$$で割り切れる

  • いくつか素数で割るとやがて$${1}$$になる

という2点でした.まずは第1の主張を整理します.

https://youtu.be/Tni70zqxZrQ

定理(W.Krull,極大イデアルの存在)

可換環$${A}$$のイデアル$${I \ne A}$$に対し,$${I \subset M \subsetneq A}$$なる$${A}$$の極大イデアル$${M}$$が存在する.□

「整数$${n > 1}$$を割り切る素数が存在する」を示すために,この記事では
「イデアル$${(n) \ne \mathbb{Z}}$$を包む極大イデアル$${M}$$が存在する」
を示しました.すると,$${M}$$の生成元$${p}$$が求める$${n}$$の素因数となりました.そこで,この括弧の主張から一般の場合に拡張しようというわけです.

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1,017字

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