複素数の乗法〈龍孫江の群論道具箱〉

前回は自然数における加法を観察し,その演算を尊重する形で群を見出す方法を考えました.今回は,複素数における乗法に対して同様の方法を考えてみたいと思います.

https://youtu.be/aXqX_Q7xmcY

複素数の乗法の性質

  • 結合則は成り立つ $${(ab)c = a(bc)}$$

  • 1が単位元である $${a \cdot 1 = a = 1 \cdot a}$$

  • 逆元は存在するとは限らない
    ($${x \cdot 0 = 1}$$なる複素数$${x}$$は存在しない)

  • 可換である $${ab= ba}$$

この演算も(自然数$${\mathbb{N}}$$の加法と同様に)逆元の存在以外は成立しており,$${\mathbb{C}}$$自身は群にはならないものの,そこまで悪い演算でもありません.そんなわけで,この演算を尊重して群を作りたいところです.

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