見出し画像

ボーディングスクール (Part I)

近年、日本国内でのインターナショナルボーディングスクールが複数開校し、保護者から熱い視線を集めている。ボーディングスクールとは、全寮制の学校のことであり、高度な英語能力とグローバルな視点を養うことが期待されている。私は1997年〜2000年まで米国カリフォルニア州にあるインターナショナルボーディングスクールで中学校時代を過ごし、2000年〜2002年まで米国コロラド州にあるボーディングスクールで高校時代を過ごした。私の年代(30代後半)でボーディングスクールを経験している人は国内において非常に少ないので、知人や子供の関係者などからボーディングスクールに関する質問をよくされる。

(1)語学力の向上(英語圏現地の場合)
私は、英語力ゼロでボーディングスクールに行ったのだが、3年間の英語教育で現地校の授業を問題なく理解できるくらいのレベルになった。私の通っていたインターナショナルボーディングスクールでは、ESL(英語を第二言語とする学生)に特化したプログラムを提供していたのでボーディング生の多くは、英語のレベルが初級〜中級くらいで入学してきた。卒業する頃には、SSAT (米国全国共通テスト中学版)で平均以上の点数を取得するボーディング生が多かった。3年間でバイリンガルレベルにしたいのであれば、ESLプログラムに特化した英語圏にあるボーディングスクールへの進学はおすすめだ。

注意点:フランチャライズ化
今年度開校された英国式全寮制インターナショナルスクール「ハロウインターナショナルスクール安比ジャパン(Harrow International School Appi Japan)は、イギリスの名門パブリックスクール「ハロウ校」の系列校である。イギリスでは教育輸出を国家戦略の一つとしており、日本以外でも中国やタイなどに系列校を開校している。私の友人の息子さんは、イギリスのハロウ校(本校)に通っていたので聞いてみたところ全く違うそうである。そもそも、ファーストフード店舗などとは異なり教育のフランチャライズ化は非常に難しい。

(2) 欧米化とアイデンティティの喪失

米国の黒歴史として知られているネイティブ・アメリカンに対する措置の一つに、ボーディングスクールへの義務化が挙げられる。19世紀末頃、ネイティブ・アメリカンの子供達を強制的に親から引き離しボーディングスクールで生活させる政策が行われた。ボーディングスクールで新たな生活習慣、文化、教育を植え付けることによりネイティブ・アメリカンとしてのアイデンティティを塗り替えようとする試みであった。当時のスローガンは、“Kill the Indian in him, and save the man" (ネイティブ・アメリカンとしてのアイデンティティを殺し、アメリカ人として生かそう)だったらしい。

皮肉なことに、この文化の塗り替えこそがボーディングスクールのセールスポイントになっている。アジア圏の富裕層の多くは、欧米諸国のボーディングスクールへ子供を送り込み、欧米化させようとしている。私自身も米国のボーディングスクールで3年間生活をした結果、驚異のスピードでアメリカナイズされていった。話し方、考え方、立ち振る舞い、見た目、どれも米国エリート層のスタンダードとした教育が24時間行われた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?