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事業開発責任者が語る、小売りへの想いとROMSの社会的意義

阿部翔太郎(TOP画像一番左下):
経営戦略室長
投資銀行、ラグジュアリーブランド、MBA、コンサルティングファームを経て、2021年5月にROMSに入社。一児の父。ROMSでは経営戦略・4P戦略の立案/実行、事業開発を中心に担当
MBTI:ENTP-A 討論者

今回は社員紹介ブログの第3弾です。前回までに、我々のソリューションの心臓を司るHWチームの岩田・戸塚、最古参の一人ながら会社の成長と合わせて常に自分自身を進化させてきた勝藤と、すでに濃ゆいメンバーが出てきた後で何を書かこうかと迷いましたが、今回は、私の入社理由に絡めて少し違った視点からROMSという会社がどういう存在なのかをお伝えしたいと思います。

期間1か月・面談2回で入社を決めた理由

改めて入社までの経緯を振り返ってみると、弊社投資家のUTECに勤める友人から軽いノリで話を聞かないかと連絡をもらい初回代表の前野と話をしたのが2021年2月28日。次に当時PoC店舗を見学+HWエンジニアの岩田と会話し、そして(勝手に)“入社宣言”をしたのが3月30日ですので、たった1か月、ROMSの人間に2回会っただけで入社を決めたことになります。

なぜこんなに早く決めたのか。当時の素直な気持ちで思い返すと、

「まともでない人たちが面白そうなことをやっている」
「早く入らなきゃ損だ」

と思ったからです。本当にこれだけでした。

当然、もう少し因数分解すると①事業への興味(小売り×テクノロジー)、②自分のWillとの合致(小規模なアーリーステージ)、③自分のSkillとの合致(戦略や事業開発がいない、それならできる)、という味気ない後解釈になるのですが、そういうロジカルな理由ではなく直感で「入ろう!」と思ったのは本当に上記があったからだと思います。

なぜか。キーワードは「小売り」や「ロボット」でした。

小売りを良くすること=日本を良くすること

私は新卒で外資系投資銀行に入りましたが、金融よりも実業がしたいという思いと、どうせならスピード感があって顧客接点が多く、数字ドリブンな企業がよいと思い米系ラグジュアリーブランドに転職しました。思えば小売りとの接点はここからスタートしました。

その後、アメリカにMBA留学をすることになるのですが、在学中、小売りの品質や価格、サービス、どれをとっても日本は圧倒的に良いことを改めて痛感しました。また、初めて日本に来た同級生が「日本のコンビニは本当に“コンビニエンス”だ。どこにでもあり何でも揃っている」と言っていたことも日本人として素直に誇らしい気持ちでした。

ただ、ビジネススクールで学ぶ輝かしい企業のケーススタディで出てくるのは未だに40年前のトヨタだけです。日本生まれ日本育ちの私は改めて日本の良さを実感すると共に、「日本はこんなもんじゃない、もっとできるはずだ」という歯がゆさを強く感じていました。

こうした気持ちからその後戦略コンサルに入社し、主に小売り/消費財セクターのコンサルティングをさせていただきました。ただ小売り/消費財セクターといっても後者が多数で、小売り業界の企業がクライアントになることはそこまで多くないのが事実です。理由は恐らく高額なコンサル費用との間尺が合わないためです(もちろんこれがすべてだとは言いませんが)。コンサル起用の主流はメーカー、ハイテク、ヘルスケア、金融等、言ってみればお財布の大きなクライアントと言えます。

そんな中で出会ったのがROMSでした。

話は少しそれますが、私は「小売りを良くすることは日本を良くすること」だと信じています。卸売・小売業は付加価値額でみると輸出の多い製造業に次いで第2位ですが、売上高で見れば実は製造業を抑えて第1位です。また、小売業界の方々とお仕事をさせていただく中でも、お客様のために実直に努力する姿勢を持ち続けておられ、こうした文化的な素晴らしさの象徴でもあると感じています。

今日、日本は猛烈な勢いで高齢化し、同時に人口が急減少するというどの先進国も直面していない厳しい環境下にあります。どのくらい深刻かというと2060年までにカナダの人口と同等の約4,000万人が丸ごといなくなります。そして、この分の需要と働き手が永久に喪失します。永久にです。

日本の小売業界がこれまで「良いモノを安く売る」を突き詰めてこられたことは本当に素晴らしい企業努力だと思いますし、心底小売り業の皆様に感服いたします。ただし、この先はパラダイムシフトが必須です。人口増の世界であれば価格減を補って総需要が増えますので成立しますが、人口減、まして消費性向の低い高齢者が4割を占め、働き手がいなくなる世界では残念ながら成立しえません。早急に「良いモノ/良いサービスを効率的に届ける」「より良いモノをより高く売る」にシフトしなければ小売りだけでなく国自体が崩壊するとすら私は思っています。

元に戻すと、ROMSのキーワードとも言える「小売り」「ロボット」というのは一見すると突拍子もなく聞こえますし、とっつきづらく感じる方もいらっしゃると思います。中には、日本は人材が優秀だからとかロボットが普及するのは時間がかかると仰る方も少なくありません。私の場合は逆にROMSが取り組もうとしている社会課題が芯を食っているというか、絶対に避けて通れない、今やらないと取り返しがつかないことだと感じました。同時に、こういうことは“まとも”な会社ではできないと感じたからこそ「ROMSに入社しよう。それも今すぐに」と思えたのだと思います。

私が当時の実証店舗を見学したのは会社創業から1年半そこそこのタイミングでしたが、これまでの小売店舗からは想像できない"まとも"ではない店舗と1年半という時間軸でこれを稼働させる"まとも"ではない人たちを目の当たりにし、近所の店舗にこうした自動化のソリューションが当たり前のように使われている世界を見てみたい、作りたいと感じたことは今でも鮮明に覚えています。

”少子高齢化・人口減少の最先進国”である日本や小売りにとって今後必要となるのは「アントレプレナリズム、設備投資、スキルアップ」による生産性の向上だと私は考えます。言い換えれば「これまでのやり方を見直し、新しいやり方・テクノロジーを導入し、そしてきちんと使いこなす」こと。弊社がリスクマネーをいただいて挑戦していることは、小売業界でこのエネーブラーになること、ひいては日本を変革することだと信じています。

ROMSの事業開発を担当している中で驚いたことの1つとして、コンサル時代にお話しさせていただいたCxOの人数よりも、ROMSに入ってからの其れのほうが圧倒的に多い、ということがあります。それだけトップアジェンダだということの証左であると同時に、小売業界の変革のエネーブラーという役割に少しづつ近づけているということだとも感じます。

スタートアップは矛盾との葛藤だらけ。
だからこそ強い想いが重要

ROMSに勤めてから約1年半が経ちましたが、改めてスタートアップというのは想像以上に毎日が矛盾との戦いです。

  • スピードが第一(だけど高いクオリティも当然に重要)

  • 須らく物事の優先順位は高い(だけど兵站/戦力には限界がある)

  • 目の前のことに必死(だけど先の先を読むことも忘れてはいけない)

  • 絶対にビジネスとして成功させなければ(一方で成功なんていいからとにかく面白いことを!という余力/遊びも必要)

  • 思うようにいかないことだらけ(だけど決して諦めてはいけない)

パッと思いつくだけでもこうしたことと24時間365日隣り合わせです。よくリクルーティング面談の中で「何をモチベーションに頑張っているのか?」という質問を受けます。確かにスタートアップは全速力で終わりの見えないマラソンをしているようなものです。改めて考えてみると、私の場合やはり、上記のように小売業界、ひいては日本という国そのものをスタートアップという立場から良くしたいという思いがあるからだと思います。

とはいえ、人間一人でできることには限りがありますし、一人では簡単に折れてしまいます。でも、同じ志に燃えるチームがいれば支えあえます。知恵と工夫が生まれます。今ROMSに必要なのはこうした想いに共感し、背中を任せあって働いてくださる方です。

ROMSはエンジニアが7割強を占めるテクノロジーの会社です。私はその点では数少ないビジネスサイドの人間ということになりますが、だからといってビジネス側の人間がエンジニア中心の会社で活躍できないわけではありません。戦略とビジネスを作り実行するのが私の至上命題ですが、それ以外にもエンジニアに求める以上に自分が率先して動く、彼らのできないことや違う視点を提供する、といったことが広い意味でのビジネスサイドの仕事だと思っています。

例えば本社のトイレ掃除に始まり(笑)、とにかく現場に行って肌で感じた課題や機会を自分事として議論する、ピュアにユーザー目線で指摘をするなどなどです。よくコンサル出身者がスタートアップではスライドなんて書く時間がもったいないというブログを見かけます。私も半分は賛成で、無駄なことはしたくありません。ただチーム横断で大きな成果を成し遂げるためには、率先して叩き台を作り、理解をすり合わせ、より深い議論を促すために思考を可視化するプロセスは欠かせません。これは一秒でも無駄にできないスタートアップだからこそ重要な過程だと思います。また、我々の会社は技術的専門性の高いエキスパート集団です。逆にいえば、エンドユーザーや素人の視点で指摘することに価値がありますし、HWでもSWでもない会社というシステムを如何に作るかという視点は往々にして後回しになりがちです。

今後こうした広い意味でのビジネスサイドの役割は益々重要になります。我々はこの厳しいマーケット環境下、幸いにも資金調達を完了することができました。今後は技術開発を加速することもさることながら、事業開発もそれ以上に加速させるつもりです。

スタートアップで働くことは本当にリスクが高いのか?

最後に、リクルーティングをしている中でよく感じることをお伝えします。

特に優秀な方ほど「ビジネスモデルは?競合やポジショニングは?実績は?」といったことを気にされます。気になってしまう気持ちは元コンサルの端くれとしてよくわかります(笑)。要するに「Provenなビジネスモデルなのかどうか、果たして本当にBetしていいのか」という点だと思います。ただアーリーステージのスタートアップにおいては正直あまり意味のない質問だと思います。なぜならそもそも市場にないものを作ろうとしているからです。本当にBetすべきはビジネスモデルやポジショニングではなく、そこで働くヒトを含めた組織のケイパビリティではないかと個人的には思います。

もう一点は、アーリースタートアップに対する無用な敷居の高さです。皆さん口をそろえて「リスクが高い、覚悟が必要」だと仰いますが、一体何に対するリスクなのでしょう?会社が潰れて路頭に迷ってしまうこと?(プロフェッショナルファームと比べて)給料が下がってしまうこと?それによって家族が養えないこと?はたまた、大企業の看板がなくなってしまうこと?

最近スタートアップの平均年収が上場企業を7%上回るという記事を見ました。本当に創業間もない場合でもない限り、もはやスタートアップ=給与が低いは思い込みです(それでも「いくら稼いでいるかがオレのステータスだぜ」という方はそのままプロフェッショナルファームにいらっしゃった方が幸せだと断言します(笑))。また、仮に入ったスタートアップが上手くいかなかったとして、私が企業の採用担当なら、名を捨てて実を取った行動と失敗から得た経験を間違いなく評価します。

こうして考えてみると、ほとんどの場合(特に初めて転職されるような若手の方が)気にしているのは大企業の看板がなくなることへの心理的な抵抗感だけだと思います。(ただ、もっと上の年次の方の場合、企業年金の受給資格がもうすぐ、というケースもあったりと別のハードルがあるのも事実ですので書き添えておきます(笑)。)

私からのアドバイスとしては、

「迷ったらワクワクするほうを選ぼう」

という点だけです。経験からの学びがある限り、死ぬこと以外失敗というものはありません。上記のように、皆さんが思うほどリスクなんてありません。飛び込んでみることです。

ここまで長々とお読みいただきありがとうございました。
詳しくは募集職種ページをご覧いただければと思いますが、少しでも私たちの考え方に共感していただける方がいらっしゃれば是非ご応募をお待ちしております!