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『職業遍歴』番外編 失業保険のカラクリ

筆者が過去に経験した「履歴書には書けない仕事(バイト含む)」を振り返るシリーズ番外編。今回は、失業保険についてのお話です。

ここまで私が経験したさまざまな仕事のお話をしてきました。ここでちょっと小休止ということで、失業保険の話をしたいと思います。

私は何度も派遣契約を切られて失業、ということを繰り返しているので、そのたびに失業保険をもらっています。正確な回数は把握してないですが、おそらく7~8回ぐらいはもらっていると思います。

失業保険をもらうときに注意すべき点について(とくに派遣社員の場合)、ざっくりお話します。

会社都合か自己都合か

失業保険は、一定期間継続して働いて雇用保険を払っていれば申請することができます。その「一定期間」というのは、会社都合の退職の場合は6カ月以上、自己都合の退職の場合は12カ月以上です。

自己都合の場合は給付制限が3カ月つくうえ、支払われる期間も3カ月のみなので、余程のことがなければ失業保険をもらうより次の仕事を早く探したほうがトクです。一方会社都合の場合は失業保険がすぐに下りますので、申請したほうがトクです。

派遣の契約が終了になった場合も、会社都合にあたります。厳密にいうと「特定理由離職者」となり、給付日数も増えます。

自己都合でも会社都合になる場合がある

自己都合で辞めた場合も、体調不良などやむを得ない事情と認められれば会社都合扱いとなる場合があります。

私は以前ぎっくり腰が原因で派遣先を辞めたとき、このケースを適用してもらいました。この場合は病院の証明書が必要になります。

会社都合扱いとなれば失業保険がすぐに下ります。自己都合であっても、このケースに該当しないかどうか、目を光らせてみてください。

受給開始までにかかる時間は退職から一カ月程度

失業保険の申請には、辞めた会社から送られてくる離職票の到着を待たなければなりません。最短でも10日程度はかかります。遅い会社だと3週間くらいかかったりします。

離職票が届いたらやっとハローワークで申請となりますが、ハローワークで申請したあとも、失業保険に関する説明会を聴きにいかないといけなかったり、待機期間が7日間あったりして、実際の受給までに時間がかかります。

退職してから離職票を受け取り、申請し、実際に受給がスタートするまで、最短でも一カ月程度はかかります。その期間は無収入となってしまうので、その間に早く仕事を見つけて働きたい、という気持ちはわかります。でも、待機期間が明けるのを待ってから仕事をはじめたほうが、トクになります。

「再就職手当」を受け取ろう

失業保険の申請をし、7日間の待期期間が明けてから「給付日数の3分の1以上」を残して再就職した場合に、「再就職手当」が支給されます。

再就職手当をもらうにはいくつか条件があります。主だったものとしては下記です。

①1年を超えて勤務することが確実であること
②直近の辞めた会社に再び就職したものでないこと
③過去3年以内に再就職手当の支給を受けていないこと

再就職手当の申請には、再就職先の証明書が必要になります。

①については、3カ月ごとの更新の派遣では難しいのでは?と思われるかもしれません。が、1年以上の長期勤務が見込める仕事であることを派遣会社が証明してくれればOKです。

②は派遣の場合は要注意です。派遣の場合は就職先が派遣会社となりますから、派遣先が違っていても、直近に勤めていたのと同じ派遣会社からの派遣だった場合、②に該当することになります。この場合は再就職手当はもらえません。なので私はこれを見越し、なるべく違う派遣会社の仕事に応募するようにしていました。

③も注意が必要です。が、この理由で再就職手当がもらえない場合は、「就業手当」をもらう、ということもできます。これについては次項で説明します。

再就職手当は、残給付日数に応じて支給額が計算されます。つまり、早く就職が決定して給付日数が多く残っていればいるほど、もらえる額が大きくなります。これはしっかりチェックして必要書類を揃えて申請し、手当をもらうようにしてください。これをもらうかもらわないかで、何十万も違いが出ます。ハロワの職員が親切に案内してくれるケースは少ないので、自分がもらえるケースに該当するかどうか、よくチェックしてみましょう。

「就業手当」をもらうには

再就職手当の条件に該当しなくても、「就業手当」をもらえるケースがあります。この場合も再就職手当同様、待機期間が明けたあとに仕事が決定し、かつ給付日数が3分の1以上残っている場合が条件となります。

再就職手当の場合は「1年以上の勤務が見込まれる長期の仕事」のときに支払われますが、就業手当はそれ未満の短期の仕事が決まった場合に、その仕事をしている期間だけ支払われます。つまり再就職手当のように一括で支払われるのではなく、短期の仕事、たとえば1カ月ごとの仕事だったらそのたびに書類を提出し、1カ月分の手当が支払われる、ということになります。

再就職手当をもらうときは、派遣であっても1年以上の長期勤務が見込まれることを主張する必要があります。しかし、就業手当の場合は逆で、短期の仕事であると主張してください。実際には長期だったとしても、契約は3カ月ごととかなので、「短期の仕事だ」と言うことができます。

このように、自分が受け取れる手当が再就職手当なのか就業手当なのかによって、長期の仕事か短期の仕事か言い方を変えれば、派遣の場合は手当をゲットすることができます。もちろん、こんなこともハロワの職員は言ってくれませんから、自分でチェックしてみましょう。

障害者手帳を持っていれば給付日数が増える

障害者手帳を所持している人は「就職困難者」として、給付日数が普通の人より多くなります。倍になることもあります。

とはいえ、障害者手帳を持っているケースは特殊と考えられているため、ハロワの窓口でいちいち「障害者手帳をお持ちですか?」なんて聞かれません。手帳を提出しないと、普通の人と同じ給付日数になってしまいます。ですので、ここは自分から手帳を提出し、障害者であることをアピールしましょう。

雇用保険受給資格者証をもらったら、給付日数の欄を必ずチェックしてください。ハロワの職員の仕事は多くの漏れがありますから、障害者手帳を提出していても、間違って給付日数が普通の人と同じになっている場合があります。そうなっていたらきちんと職員に言いましょう。職員は慌てて日数を変更してくれるでしょう。

最後に

失業保険の受給は国民の権利です。そのために私たちは税金を払っています。遠慮することなどありません。堂々と申請し、堂々ともらい、堂々と使ってください。

なんだかんだいって、日本の福祉制度は手厚いです。ただし、自分から情報にアクセスしなければ、そういう制度があることを知ることができません。失業保険の場合も、自分がもらえるということを知らずに申請していない人も多いようです。辞めた会社がいちいち失業保険のことを教えてくれるわけではないので、自分できちんと調べましょう。

さあ、失業保険をゲットして、働かなくてもお金が入ってくる暮らしを存分に楽しんでください。










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