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『職業遍歴』#27 1円ライター

筆者が過去に経験した「履歴書には書けない仕事(バイト含む)」を振り返るシリーズ第27弾。今回は、クラウドソーシングでWebライターをやっていたころのお話です。

27. クラウドソーシングのWebライター

「1円ライター」って聞いたことありますか?これは、1文字1円という報酬でWebサイトのライティングをしているライターのことを指します。1文字1円。つまり、1万円の報酬を得ようと思ったら、1万字も書かないといけないということです。これはかなり大変です。

私が以前やっていた演劇誌のライターの仕事では、「1本の取材記事につき1万円」でした。文字数は1000~2000字程度。文字単価でいうと、5円~10円というところですね。しかしこの場合は取材したり文字起こししたりという作業も発生しますから、1本1万円というのもかなり安いギャラです。

昔、学生時代にバイトで雑誌のライターをやっていたころは、ページ単価が2万円でした。文字数でカウントするのではなく掲載されたページ数でカウントしていたので、文字数が数100字であっても1ページの掲載であれば、2万円もらえました。これは割がよかったです。

紙媒体が衰退し、Webがメインとなってくると、ライターの単価はぐんぐん落ちていきました。いまやライターは「誰でもできる仕事」の代名詞のようになっています。ずっと専門ライターをやってきた身としては残念な限りですが、それでもやろうという人が後を絶たないため、仕方がないのかもしれません。

私も仕事がなかったとき、副業的にクラウドソーシングでWebライターをやっていたことがありました。けれど、すぐ辞めてしまいました。あまりにもお金にならないからです。お金にならないわりに、労力は結構かかります。

クラウドソーシングといってもいくつかあります。有名なところでは「クラウドワークス」「ランサーズ」です。これはライターはコンペ制で、やりたい仕事に応募し、採用となれば報酬が発生する、という感じらしいです。つまり採用されなければタダ働きとなります。これはバカバカしいと思い、コンペ制じゃなく確実に書いた記事が採用されて報酬の発生する「サグーワークス」というサービスを見つけて登録し、仕事をはじめました。

やってみて驚いたのは、実際は文字単価1円どころか、0.3円くらいの案件がごろごろあること。つまり、1000文字の記事を書いても300円しか入りません。そういう数100円の案件がいっぱい並んでいます。つまりそういうのをたくさんやって数をこなしていかないと、たいした金額にはならないということです。

たった1000文字の記事といっても、なにかについて調べて書いたりする必要があり、それなりに時間はかかります。たとえば1000文字の記事を書くのに一時間かかったとしても、報酬は300円。時給300円です(笑)。ちょっと笑ってしまうくらい低いです。

しかも、掲載にあたってかなり細かい表記ルールのようなものがあり、それにひとつでも違反すると「非承認」となり、掲載されなくなります。そうなると報酬は発生しません。どんなに時間をかけて書いても、ただ一箇所表記ルールが合っていなかっただけで非承認となり、報酬はゼロになります。タダ働きです。まったくもってバカバカしい。人をバカにするのもいい加減にしてほしいです。そんなの、その一箇所だけ修正して掲載すれば済む話じゃないですか?それをまるまる非承認にして別のライターにゼロから振るって・・・ちょっと頭のおかしいシステムだと言わざるを得ません。

書く記事も基本宣伝記事なので、書いていて楽しさもないし、文章力アップになんかなりません。むしろ文章力なくなると思います。

数100円を得るためにつまんない宣伝記事をいろいろ調べたりして書いたりするよりも、無報酬でもこうしてnoteとかで自分の好きな内容のことを書いて発信したほうが何倍も有意義です。

クラウドソーシングのWebライターとして成功している人のブログなどを読むと、最初は低い報酬の仕事を受けていても、そのうちその企業から直接依頼が入るようになり、報酬が上がった、というものが多いです。たぶん私のやっていたサービスではなく、クラウドワークスとかなのでしょう。コンペで生き残って仕事をとり、さらにその企業に認められて個人としてライターの仕事を勝ち取る。そのぐらいのガッツがないとやっていけない世界のようです。

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