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『職業遍歴』#29-1 カタログ編集という仕事

筆者が過去に経験した「履歴書には書けない仕事(バイト含む)」を振り返るシリーズ第29弾。今回は、ライフスタイル系のカタログの編集をやっていたころのお話です。

29. カタログの編集

スタートアップ企業でWebライターとして派遣で働き始めたものの派遣先都合で雇い止めされてしまったという話をこちらに書きました。↓

この記事ではわりと淡々と事実だけ書いていますが、心のなかでは本当に憤っていました。なぜこのような派遣先都合の突然の雇い止めがあるのか。真面目に仕事をしていたのに、なんでこんな目に遭わないといけないの?派遣社員の人権ってないの?法律にさえ違反してなければそれでOKだとでもいうのか?派遣会社には責任はないの?

私は「派遣ユニオン」に行き、この件について相談しました。派遣ユニオンは、派遣労働者のための労働組合です。現在でも派遣社員のテレワーク差別などについて訴訟を起こしたりしています。

しかし私のケースでは、契約期間はきちんと終了していること、契約終了の一カ月前までに終了の旨を告げられていることなどから、違法性はないとのことでした。まずは派遣会社に相談するようにと言われました。まあそんなものかと思いました。私にしても、「このことを訴えてやる!」みたいな気持ちではなく、一労働者としてなにかできることはないのかと思って相談しただけでした。結局は違法性はないからなにもできず、泣き寝入りするしかないということです。

結局、訴訟を起こすみたいなことになると、組合に入らなければならないし、費用もかかります。時間もかかるし、面倒です。ここはぐっと我慢して、大人しく次の仕事を探したほうがいい、と思いました。

派遣会社が今回のことで多少責任を感じてくれたのかどうかはわかりません。が、次の派遣先をすぐに紹介してくれました。

それはライフスタイルにまつわるカタログの編集の仕事でした。私はスタートアップ企業を切られたあとすぐにここで働くことになりました。スタートアップ企業にいたのはたった4カ月ですから、失業保険も出ません。すぐに次の仕事を見つける必要があったので、ありがたかったです。

カタログ編集の仕事は一言でいうと「めちゃめちゃ面倒くさい」です。カタログには記号やらマークやらいろいろあり、さらにそのカタログは食品系でもあったので栄養表示などの制約もありました。そのカタログは週刊でしたので、毎週初校日があり、そのたびにそうした表記などのチェックがクライアントから入り、さらには商品の差し替えなんかも頻繁にあったりして、それに対応しないといけません。

この会社も結局は短期で辞めることになるのですが、現在にいたるまで私はカタログ編集の案件の紹介があっても断るようにしています。そのぐらい大変でした。

カタログ編集においては「細かさ」が要求されます。私はそういう細かい作業が別に好きなわけではないのに、「できてしまう」のです。そして、私が「できてしまう」ことで、さまざまな仕事を任されるようになります。

派遣社員にとって、「仕事ができる」と評価されたり褒められたりするのは、全然プラスのことではありません。むしろマイナスになります。

社員であればそれはプラスとなります。評価されれば昇給があったりするからです。しかし派遣はそうではありません。評価されたところで時給が上がるわけではありません。待遇は上がらないのに、仕事だけがどんどん増えていきます。むしろ、「できない人」と思われて仕事をあまり振られないぐらいのほうが得です。

「あなたのスキルならできる」とか、「あなただから任せられる」などという派遣先の甘い言葉に乗らないようにしてください。彼らは別にあなたを認めているわけではありません。ただ都合よく使いたいだけです。

この会社で働いているうちに、私はそのことが身に染みてわかってきました。

続く



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