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『職業遍歴』#21 派遣仲間との出会いは一期一会

筆者が過去に経験した「履歴書には書けない仕事(バイト含む)」を振り返るシリーズ第21弾。今回は、1カ月の短期で業界新聞の原稿整理をしていたときのお話です。

21. 業界新聞の原稿整理

あちこちの会社に派遣されて仕事をしていると、多くの人と知り合うことになります。知り合ってもその後もお付き合いが継続するわけではありませんが、単に「知り合った」人数だけでいえば、おそらく1つの会社の1つの部署で何年も働いているような人に比べ、私は段違いなほど多くの人と知り合っていると思います。

同じ仕事をする派遣仲間とも知り合いになります。一緒に仕事をしている間は仲良くしていても、辞めたあとに連絡をとったりすることは稀です。辞めるときに連絡先やSNSを交換し合うことはよくありますが、結局そうしても実際に連絡したり、ましてや会ったりするなんて滅多にないです。それは寂しいことだと思われるかもしれませんが、もうみんな次の仕事をしてそこで新しい出会いがあるし、家庭のある人だったりするとそもそもわざわざ会う時間なんて作れませんから、仕方のないことだと思います。逆に私は、こうした「一期一会」の出会いを楽しんでいるところがあります。

さて、健康食品を販売している会社をたった2カ月で辞めたという話を前回書きました。↓

次の仕事どうしようかな、と思っているとき、別の派遣会社から1カ月の短期の仕事の案内がきました(私はこのとき複数の派遣会社に登録していました)。

業界新聞の原稿整理で、毎年決まった時期に短期で請け負っているみたいです。本来は2カ月なのですが、どうやら1カ月で辞めてしまったスタッフがいるらしく、その人の替わりにすぐにでも来てくれるスタッフを探しているということでした。急ぎなので職場見学も必要ないとのこと。ちょうど私も仕事を探していましたから、その仕事を引き受けることにしました。

どうやらその辞めたスタッフというのは問題のある人だったらしく、いろいろやらかして辞めていったみたいでした。派遣社員のなかには、こういうちょっと問題のある人もたまにいたりします。その会社には同じ短期の仕事をしている派遣社員がほかに4人いたのですが、その4人もこの問題のあるスタッフにはとても困っていたようでした。

そこに私が入り、すぐに仕事を覚えてテキパキとこなしたことで、4人の派遣仲間からは大いにありがたがられました。仕事内容は業界新聞の原稿整理ということで、特筆すべきことはなにもない単純な仕事です。時給も1500円と低かったですが、その程度の仕事内容でした。

派遣仲間とは私の初日にみんなでランチに行った以外は、たまにちょっと雑談をするくらいで、そんなにべったり仲良くしているわけではありませんでした。何事もなく1カ月が過ぎ、私たちの契約終了日を迎えました。

最後の日に、みんなで飲みに行きました。そこでさまざまな話をしました。今回の仕事の話、これまでの仕事の話、プライベートの話など。大いに盛り上がりましたが、私たちはとくに連絡先を交換することもありませんでした。その人たちも私同様あちこち渡り歩いている人たちですから、連絡先を交換したところで実際に連絡することはない、とわかっていたのでしょう。

帰り際、「それじゃ、またどこかで!」と言い合い、別れました。なんかこういうのいいなと思いました。同じ場所である一定期間一緒に働いて、契約終了日にはじめてみんなで飲む。そして今後会う約束も、連絡先の交換すらなく、「またどこかで」と言い合ってそれぞれの道に戻っていく。ちょっと萩尾望都の『11人いる!』のラストに近い感じです。

私はそのあとも、派遣社員として多くの出会いと別れを繰り返していくことになります。




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