優しさの見返り
アルバイト先の雇用主がやたら私が欲しいDVDやスイーツ、本などをくれる。
本当にいろいろ尽くしてくれて、私は本当にいいバイト先に入ったと感じていた。
数ヶ月経ち、雇用主は私にチラシを作ってくれないかと頼まれた。
自分の得意な絵やレイアウトが人の役に立つことは本当に嬉いことだったので喜んで受け入れた。その仕事に対して報酬は特になく、まあ今までの尽くされた分があったので、釣り合いが保たれていた。
しかしその後も度重なるポップやメニューの制作や求人広告の制作、報酬がついたのは一つの仕事のみでそれ以外には報酬はゼロのままだった。
でも本当によくしてくれてるし、こんな私を雇ってくれてるし、そもそも私以前にこう言う物を作成していた人は無償でやっていたのだろう、プロでもないし、などなんとか言い訳に甘えて、報酬を求めることを諦めていた。
そして最近も新たなチラシの制作を頼まれた。
今はテストが忙しいので無理だと答えたらテストが終わるまで待つと言われた。しかしテスト後も就活で忙しいので精神的にもスケジュール的にもきついなと感じていた。
結局意志が弱い私は受け入れてしまい早めに作って就活に集中することにした。しかしテストが終わったと連絡しても、細かな要望の連絡が来なかったため、早く終わらせたかった私は自分からどのような文言を入れて欲しいのかなど聞きに行った。様々な注文を聞いた後、雇用主は私に
「なるべくミスのないように自分でもチェックをしてね。社会では世に出るもののミスは許されない。もうすぐ社会に出る君のためだから。」と言われた。
この言葉に私は疑問を感じた。
確かに、あなたが言う社会人としての姿勢は間違ってはいないと思う。そして私も今まで誤字は必ずといっていいほどあったし、それは確かに私が悪いが、ボランティアでやっている時点でこちらの損益の方が大きくはないか?そして私が作った広告によって会社が利益が得られても、私の時給は上がらないですよね?それならば、最終チェックくらいやってもらえませんか?そもそも対価を与えない事、仕事の連絡が毎回急なことは、実際に社会に出ている者としてどうですか?
私の悪い癖は、ストレスや疑問がタンクに限界まで反論をしないことだ。
今回もその癖が裏目に出ている。
その後過度な優しさは重荷になっていった。
勝手に求めていないプレゼントを渡されてその代わりに仕事してねと言われる。この仕組みに気付くのに一年かかった。
過度な優しさを与えられそうになった時、遠慮でもなんでもなく、欲しくない、もしくはもうこういうことはやめてくださいと言えるといいのだろうけど。
星野源さんがオールナイトニッポンで、樹木希林さんがロケ先などでの贈り物を「いらない」と言って断るという話を思い出した。調べてみると樹木さんは番組での景品もお断りしていたそうだ。樹木さんは物を持たない事が良いと本でもおっしゃっていたので見返りを恐れる私とは目的は違うのかもしれないけれど、自分ができる働きに釣り合わない優しさはいつか、潜在的にも相手への過度な見返りを期待してしまい、金銭や物、労働が必要不可欠な信頼関係が出来上がってしまう場合がある。
そして私自身にも相手の善意に返事をしなければならないというプレッシャーがあって、それに付随して自分が身を削って尽くしてときには身を削った分のお礼を求めてしまう。
これから、より自分が良い人間関係を構築するにあたっては、自分の許容範囲の五歩くらい手前で仕事は断ること、ボランティアは自分がやりたいと思えることだけを選択すること、異常に尽くしてくれる人に対しては疑う事や断ることが大切だと思う。(私にとって
そして私が雇用主に対して疑問を持ったように、この人とこれ以上関わったらダメだと感じたら、意外とそれは合っているので、すぐに距離をおくべきだ。(つまり私はこのバイトをいますぐ辞めたくてしょうがないんだ、、)
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