旅に出ていきなり後悔したり震えるほど自由を感じたりした話
あの朝は10時間は寝てたみたいです。
おお!ついに初の海外に着いた話ですよ。
旅の話って言ってるのに、一向に旅立つ気配がなかったこのブログエッセイですが、ついに!
そう。
始めての海外。
それはフランスはパリでした。
何故にパリかと言うと、開高健氏に憧れてたので、氏の回顧録に度々登場するパリでの生活を体験してみたいと思ったのです。
芸術家。いわゆるアーティストを志す若者が跳梁跋扈する。そんな街。
実は当時のバックパッカーの間では、アジア、とりわけタイはバンコクから旅を始めるってイメージが強かったですが、僕はなんかその流れに乗るのが嫌だったんですね。
その頃から無駄なこだわりが人生を邪魔するんですが、それでもそのおかげで少し違う経験からの違う考え方を得る事もあるので、皆さんも大いに無駄に間違えて欲しいと思います。
さて、確か関西空港から直行便で12時間くらいでしたかね?
もう25年位前の記憶なので、あやふやなところは勘弁してくださいね。
はじめての飛行機。
いやあ、なんていうか、フライト時間が長過ぎましたね。
そもそも狭い所が大嫌いなので、辛いったら。
途中から、こんな思いするなら歩きで行けば良かったと本気で思ったくらいです。
今でもですが、座ってぐっすり眠れる程器用でもなかったので、全然眠れないし。
映画を2時間観ても、まだ10時間もあります。
地獄のように暇でした。
あまりに暇で、この頃には既に旅に出たことを後悔し始めていましたよ。
そんな時間が過ぎて、いつの間にかその座席にも愛着が湧いてきた頃に、シャルル・ド・ゴール空港に到着しました。
そこから市街まで、さらに電車に揺られて1時間くらい?でしたかね。
その日の宿がある駅に着きました。
大きな駅でしたね。名前は忘れました。
そこから宿はすぐのはずなのに、さっぱり分かりません。
おまけに周りは外人ばっかりで、大きな声で知らない言葉を交わして楽しそうですが、何言ってるか分からないので、こちらはタイヤに挟まった小石みたいな居心地の悪さを感じます。
辺りはもう夜になり始めていました。
そこで、お巡りさんに道を尋ねる事にしました。
外人とファーストコンタクトです。
まだ自分の方が外人な事に慣れてなかったので、恐縮しまくってたのです。
なので、普通の人に道を尋ねるのは気が引けて。
お巡りさんなら仕事だから快く聞いてくれるに違いないとふんだからです。
お巡りさんというより、軍隊って感じの機関銃を持ったお巡りさんらしき人に話しかけてみたんです。
ホテルの名前を言うだけの簡単な問いです。
その人は面倒そうに、アホかコイツって顔で目の前の建物を指差してくれました。
いや。いやいやいや。
やっぱ言葉が通じないのかぁ。。
ここは駅やし、ワシが行きたいのはホテルやねん。
って。
あ、、、、
駅の建物にホテルがくっ付いてました。
いわゆるステーションホテルだったんです。
これ読んでて、いやいや、そんなんGoogleで調べろよ能無しかよ!って思った人も多いかと思いますが、まだスマホどころかインターネットもねー時代なんだよ!!
頼みの綱は「地球の歩き方」ってガイドブックだけ。
しかも各都市のじゃなくて、大雑把にヨーロッパで一冊になってるバージョンだったから、ホテル1つにそんな詳しい情報は書いてなかったんや。
機関銃らしきの持ってた軍人さんっぽいお巡りさんにお礼を言って、ホテルに入りました。
シャワーを浴びて、コロンを叩いたりはせずにベッドに横になると、あっという間に寝てしまいました。
それが確か19時くらいじゃなかったかなって思うんです。
ふと、目を覚ますと早朝でした。
朝。5時くらいだったかと思うんです。
腹が少し減ってました。
でも、それよりも、海外に自分がいるって衝撃が身体を突き抜けます。
ここは、、、、パリなんだ!
富山でもなければ日本でもない。
しかし安い宿だったので、窓もありません。
ここは外国なんだぜ。外は?外はどうなってる?
よっしゃ!!
身支度をして、外へ出てみました。
空気が違う。
光が違う。
知らない朝。
知らない風景。
知らない街。
そこにあるのは、初めての旅の朝だったんです。
「う、うおおおおお」
まるっきり新しいキラキラしたその世界に心底震えが来ました。
軽く飯でもって思ってたんですが、僕はそのまま凱旋門へ向かう事にしました。
心が、足が、軽やかに、好奇心が跳ねまわる感じですかね。
初めての国の、早朝の地下鉄。
大丈夫。飛行機で高校受験の時より真面目に「地球の歩き方」を読んで勉強した。軽く復唱出来るくらい暗記済みだ。
ま っ た く 簡単だ!!余裕だぜ地下鉄!
海外に行くと今でも、その国の電車に乗れただけで、バスに乗れただけで、羽が生えたように自由になる気がします。
多分気のせいなんですが、僕は凄くそんなのが好きなんですよ。
そして、まだ通勤ラッシュ前の、静かなその駅に到着し、階段を駆け上がります。
空気はまだ朝のままです。
我が心甚だ急ぎ、飛ぶがごとし、飛ぶがごとし。
確か吉田松陰の言葉で、多分使い方も間違ってる気がしますが、この時はまさにこう言う心持ちでした。
トンネルを抜けるように階段を上り切りました。
!!!!
!!!!
どーーーん!!!!
デカイ!!!!
凱旋門!!!!
来たぞ!来れたぞ!やって来たぞ!!
自分で調べて、決めて、飛び出して。
そして始まったんです。
まあ凱旋門てアホでも行けるんですけど、やっぱり嬉しかったですね。
ここから旅が始まって、そんで今でもその途上にあると思っています。
あの朝の空気は一生忘れないですね。
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