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2000年のWEBマガジン『mixer』【2】「鬼と絹」

2000年に友だちが『mixer』というWEBマガジンを趣味で立ち上げまして、そこに寄稿させていただいた原稿が発掘されました。

その原稿を小分けにして公開しています(今回で2回目となります)

『mixer』の詳細および1回目の原稿はこちらをクリック

また、最後に、いま過去の自分のコラムを読んでみた感想も付け加えておきましたので、あわせてお楽しみください!

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mixerからのお題:「ド」

タイトル:「鬼と絹」

 栃木県を流れる鬼怒川はそのむかし、美しい白糸のような水の流れから"絹川"と呼ばれていたそうです。

 その糸のように細い川幅は、雨が降るとすぐに氾濫を起こしてしまいます。

 そんな荒れ狂う川の姿は、まるで鬼が怒っているかのよう……そんな言い伝えもあり、いつの頃からか"絹川"は"鬼怒川"に変わってしまったということです。

 人は"怒る"と頭に血が上ります、顔が真っ赤になり冷静な判断ができなくなります。

 こういう人は噴火する火山のようなタイプで、まわりがまったく見えていませんので、じつはまったく恐くなかったりします。


 本当に恐い人とは、逆に頭から血が引き、わめかず、怒鳴らず、冷静な思考と判断を持ち続けられる人だと思います。

 映画に例えるならば前者が『ボルケーノ』、後者は『氷の微笑』という言葉がぴったりなのではないでしょうか?

 "ド"……つまり"怒"というテーマで書いてみたわけなんですが、"鬼"のような爆発的な凶暴さを持ち、やたらと頭に血が上る体温が高いタイプよりも、じつは"絹"のような繊細な思考を持つ体温が低いタイプの人ほうが、怒ると恐ろしいということです。

 "怒"と"℃(度)"は、反比例の関係にあるのではないでしょうか?

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【いま読んでみた感想】

このときの原稿の「お題」は、"ド"でした。

このように、いかようにも捉えられる「お題」は、想像の幅が広がるぶん、何を書こうかすごく迷うんですよね。

たしか、他のライターさんのひとりは、ドレミの"ド"に絡めて、音楽関連のコラムを書いていた記憶も。

そんななか、ボクがテーマに選んだのは"怒(ド)"でした。

まずは、"鬼怒川"と"絹川"の話から、"怒り"の話にもっていき、最後は、"鬼怒川"と"絹川"にひっかけ、"鬼のような"と"絹のような"という比喩をからめながら、さらに"怒"と"℃(度)"をひっかけつつシメる……という、「この伏線回収感はどうだ!」ともいわんばかりの構成。

いま読むと、当時のドヤ顔が浮かぶような原稿です(笑)。

20年ぶりに読み返してみての率直な感想は「なんか、きもちわるい!」でした(笑)。

とはいえ、無理矢理感のある構成がきもちわるいだけで、内容というか考え方そのものはいまと変わらず、「弱い犬ほど吠える」じゃないですけど、「すぐ怒る(怒鳴る)」人ってそんなに怖くないんですよね。

本当に怖い人は「怒らない(いちいち怒鳴らない)」ですからねえ。


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