季節限定

ミントブルーの蝶が漂う
秒針の音が私の脈に近づく
隙間時間に幅寄せあってるだけじゃ足りない？
不足部分をあなたは誰かと

夜中にコンビニまで
陳列された物のなかに欲しい物がないと分かってる
簡単な光にさえ触れていたくて

あしたにでも終わりそうな不安が繰り返す
吐き捨てたノイズで肺を焼く
足りない部分を誰かで埋めても泥濘むから
穴空き 悲しいと心を垂れ流して突き進む
私にはあなたしかいないから
欲で澱んだ誰かの瞳に映る暇もない

世界平和だれもが願う
そんじゃあそれなりに動いてくださいや
人が譲った通路を頭も下げずに通るのに
ウイルス対策 マスクして
神様、初めに死ぬのはさっきすれ違った男にしてよ
人一人殺せない私がそんなこと願うなんて矛盾だと
誰かが笑ってる

息がつまるからちょっとそこまで
行く当てなくても歩けば見えてくるから
取り越し苦労に追いやられるのはここまで

あしたがくれば分かり合える気がしてた
そんな未来を夢見てた
足りないのは全てあなたのせいだと
あなたは私のせいだと
躊躇いだらけの言葉の奥にいるあなたの可愛い子の事知らない惨めな季節
私にはあなたしかいないのに
嘘で満たされた楽しそうな顔をみた
神様、あの人も殺してください
やっぱり私が殺してあげる

なにも要らない私はコンビニスルー
未来に願掛けしたのは逆襲とか復讐の時間で
憧れとか希望じゃない、真っ当な答えが的外れな額
ミントブルーの蝶は蛹になった
時計の針は次の時間を繰り返し辿る
足りないものは足りないまま
簡単な明かりに照らされなくても
闇と群れて小粋に着飾り歩いていける
私には私がいるだろ
あの子にはあなたがいるだろ
アンバランスの世界で今日も踊ってる

結局
殺せたのはミントブルーの蝶だけで情けないわ
羽が濡れてたから丁寧に乾かして卵に閉じ込めた
孵れる夜までおやすみ
世界は形を変えながらバランスを保ってく
勝手な世界が今日も回ってて
全くついていけやしないの
喧騒に叫んで声を掻き消した
秒針の音に脈を辿らせて私も眠ろうか