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Bob Marley at Musical Planet

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ボブ・マーリー(Bob Marley)

 陶:音座マリカ
 文:泉井小太郎


Positive Vibration

雨の
昔の
火の
髪の

男は歌った

悲しみは
甲羅で固まる…ものではない

苦しみは
とぐろを巻く…ものではない

鋼の
頬と
心と

明日
雨あがりの


  ♪


ボブ・マーリーの「キャッチ・ア・ファイアー」をレンタルしている時に、彼の訃報が飛び込んできた。何か因縁を感じたので、返さずにそのまま買い取った。気に入ればそれが出来る店だった。
1981年5月。11日に亡くなって、新聞に載ったのは13日。
関心を抱いたばかりでそれなりにショックを覚えたこともあってか、追悼の小冊子を即興的に作った。用紙はクラフト紙、煙草を咥えて順次穴を空け、それを重ねる。歌詞からインパクトのある言葉、新聞からも目についたものを抜き出し、ページに貼り付けた。
この頃はよくクラフト紙で即興の小冊子を作っていた。ハトロン紙とも言うので、ハトロン氏工房と名乗って。それはともかく、ボブ・マーリーの日本盤の歌詞カードも同じくクラフト紙だった。
 (小冊子「catch a-fire」のコピーを掲載しています)

  *

ボブ・マーリーという凄い歌手が現れたとの情報はジャズ雑誌のレビューで知ってはいたが、実際に聴いたのはこの時が初めて。ジャズばかり聴いてきて、レゲエはリントン・クエシ・ジョンソンという詩人のダブ・ポエムから遡るかたちだった。
当時、詩と音楽にまつわるアルバムを探していてLKJに出会い、ファースト・アルバムを譲ってもらうことからレゲエ愛好家の青年と相識った。その青年がボブ・マーリー追悼のレゲエ・サンスプラッシュ'81のテープを手に入れて連日聴く内に、カリブの小さな島国ジャマイカの音楽とその昂揚が熱く熱く伝わってきた。

  *

時代に遅れてようやくボブ・マーリーに辿り着いたら、本人は遠くの方へ去ってしまった。けれどもう引き返せない。一枚また一枚とウェイラーズのアルバムを聴いていって、気がついたら主要なアルバムは全部揃っていた。
どこか荒れ気味でいて繊細な声、サウンド空間を浮遊する自在なヴォーカリング。歌に語りの要素があるから、歌詞にリアリティが出る。言葉が生々しく跳ねる。(ガンジャで)深いメディテーションにある彼の音楽空間はとても異様だ。ライヴ映像を観ていると彼だけが別世界に飛んでいるように見える。どんな世界か? それは皆目分からない。たった一人の、その物狂おしさに打たれる。


  ♪


ボブ・マーリー(Bob Marley)1945 - 1981
レゲエを世界に知らしめた、ジャマイカの国民的英雄ミュージシャン。
敬虔なラスタファリアンでもあり、その信念に貫かれた音楽活動を展開。
エチオピア皇帝の戦争反対の演説を歌にするなど、音楽闘士であった。

愛聴盤(アナログ盤):
○ African Herbsman(Trojan)
○ Catch A Fire(Island)
○ Burnin'(Island)
○ Talking Blues(Tuff Gong)
○ Rastaman Vibration(Tuff Gong)
○ Exodus(Island)
○ Panky Reggae Party(Tuff Gong 12")
○ Kaya(Island)


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