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『「叱らない」が子どもを苦しめる』を読んで

『「叱らない」が子どもを苦しめる』
薮下遊・高坂康雅著
筑摩書房

読んだのは一か月以上前になるので、記憶が薄れているけど、とても良かった本。

(タイトルは、ちょっと警戒されそうなので、変えた方がいいのではと思う)

不登校が増え続ける昨今、多くの子ども達に向き合ってきたスクールカウンセラー薮下遊さんが書いた本。

私も子育て中で、家庭での教育や学校教育に関して、色々と思うところがある。そして、何より自分の子育てについても、いつも考えそして反省や後悔が多い。

自分の愛する子がいつどんな理由きっかけで学校に行かなくなる事態になるのか、これは紙一重や運のようなところがあると思う。なので、不登校のおうちは、そこのおうちのこういうところが問題だ云々というのは、間違っており奢った見方だと思っている。

そのうえで、社会にこれだけ不登校が増えているのはどうしてだろうとずっと思っている。それは、各家庭の問題(問題のない家族はなく、家族があればあるだけ、百様の問題があると思う)とはまた別に、「増えている」という傾向があるということは、社会としての何かがあるはずであり、まさにその社会の中で現在育ち中の子どものいる自分にとって、自分のことだからでもある。

また、「良い」教育をしているはずが、そうでない(思った通りでない、望まない、等)結果を生むということがあれば、それは心掛けてそういう教育をしている親個人と言うよりは、やはり、それを「善し」としている社会に、見直すべき問題があると考えるべきだ。

今の教育の「風潮」は、本当に良いのだろうかということをずっと思っていた。

その様な、私のずっと抱いている問いに、恐らくいちばんよく、答えてくれた本だと思う。

著者の薮下氏によれば、一昔前の不登校から、現在のそれの実態は、変わってきているそうだ。そこには、大きなヒントがあり、私の問いも、そこに大変フィットした。

薮下氏は、最近の子どもは「押し返される」体験が不足していると言う。自分が漠然と思っていた事もそれで、とても説得力があった。バックラッシュ的な主張ではない。が、時代が進んで捨ててきたものの中に、一部捨てるべきでなかったものがあった、と後からわかることだってあるかもしれない。
(ただし、今学校に行かない行けない子ども全員がそのせいだ、というわけではない。)

良かったら、読んでみて下さい。

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