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訛りを考える

日本語でも訛る

人が会話をする時には殆どの場合「訛り」があります。
同じ日本人同士なのに、東北訛りの人もいれば関西訛り、九州訛りの人もいるでしょう。
英語でもそれは同じで、英語を母国語としている人であっても、イギリス人、アメリカ人、ニュージーランドやオーストラリア、、、、国や地域が違えばそれぞれに、大小や強弱はありますが訛りはあります。
今となっては良い思い出話ですが、僕が子供の頃、父親はベタベタの九州弁だったので、
『しぇんせい(先生)がなんち言うちょっか?』
(先生は何と言っていたんだ?)
訛りに方言が混じっていたりするので、関東の普通の人にはわかないかもしれませんね。
『せ』 がきちんと発音できなくて、長いこと恥ずかしい思いをしていたようです。

これと同じような感じで、英語にも地域によって発音が少しずつ違う場合があります。

母国語から生じる訛り

英語をセカンドランゲージとしている国の人ではもっと顕著ですね。
シンガポールでは公用語は英語ですが、殆どの人は母国語を持っています。
インドやマレーシアも自国の言葉の他に英語を話すので、なかなか聞き取りにくいこともよくあります。
もちろん日本人だって、よほど長い期間海外で生活しているとかでなければ日本人特有の訛りはなかなか隠せません。
唇の動きや下の使い方がどうしても母国語である日本語を標準にしてしまっているので仕方のないことだと思います。

昔、ニュージーランドやイギリスの人と仕事をしていたときにとても悩ましいというか聞き取りにくい言葉がありました。

Data bese → ダイタバイス
Tape → タイプ
Have a good day → ハヴァグッドダイ

エィ の発音が アィ のように発音するので、慣れるまではなかなかわかりにくかったのを覚えています。

こういう音として耳に入る英語の違いは、実際に会話をして慣らす以外に方法はないのだと思います。
映画を観てもアメリカ英語が主流ですし、イギリス英語だとイギリスの人の発音で英語を聞くことができます。

もう随分古い映画ですが、Empire of the Sun (日本名は 太陽の帝国)
という映画を観ました。
第二次大戦前の上海で生まれ育ったイギリス人少年が、日英が開戦したために避難することになり、そのどさくさで両親とはぐれてしまい独りきりになってしまします。
その後、あちこちを彷徨ううちにアメリカ人男性に助けられてしばらく行動を共にします。
ある日、このアメリカ人はイギリス人少年に言います。

Don't let me down, kid.
You're an American now.

そう言われた少年はすぐさまアメリカ人のような表現で

Hey, how you doing, Frank ?

とアメリカ人に声をかけるシーンんがとても印象的でした。
それまでのイギリス英語ではなく、アメリカ英語の特徴を掴んだ話し方が
やけに上手いなと思ったのです。

こんなふうに英語にも、発音やイントネーション、抑揚の有無などいろいろな違いはあるようです。

訛りをなくす方法は?

正直、僕は英語の先生でも言語学者でもないので、どうすれば訛りをなくせるのかは知りません。
でも、長いこと英語に触れてきて、仕事上ではありますが外国人と交流をしてきて、『訛りを取る必要はない』
そう思うようになりました。
大袈裟な言い方かもしれませんが、ある意味でのアイデンティティと言って良いのではないかと思うのです。
あまりに訛りが強過ぎて人との会話に支障があるようでは困りますが、
言いたい事が伝わっているのであればそれを綺麗なアメリカ訛りに矯正するとクイーンズイングリッシュに直すとか、そんな必要などどこにもないのだと思います。
これまで色々な地域の人と交流しましたが、訛りも癖もない、綺麗で標準的な英語を話す人の方がはるかに少なかったです。

英語は誰もが知る通り、ほぼ世界のどこででも共通に通用する言語です。
逆に言えば、英語を母国語とする人達は世界の中ではごく一部の国、一部の人だと言っても過言ではありません。
それ以外の国へ行けばどこでも地元の言語、地元の言葉があります。
それならば、英語を母国語としない色んな国の、色んな地域の人が、それぞれ自分の土地の訛りで話したっていいはずです。
それはごく自然のことでもあります。
関西の人が東京へ来て大阪弁のような感じで話したからと言って、
東北の人が東京へ来て東北弁のような訛りで話したからと言って、
誰かがそれを咎めることはありませんし、むしろきちんと慣れ親しんだ地域がどこであるのかがわかって嬉しいとさえ思います。

綺麗な標準的な英語が話せるならそれに越したことはないでしょう。
でも、訛りがあるのだとしても、それはなにひとつ負い目や引け目に感じるべきことだとも思いません。
それを矯正する必要もないのでしょう。


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