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思い付きのツーリング

地図を見て、目的地の周辺にどんな施設があってどんなレストランがあって、そこから次の目的地までのルートを通っていけば素敵な景観の場所があるか・・・
調べに調べて、綿密な計画を立てて、予定通りにツーリングに出かける
楽しみや夢が凄く膨らみます。

もう一つのツーリングの方法はと言えば、何も決めずにふらりと、気の向くままバイクの向くまま行きたい所へ向けて走る、そんなツーリングも僕は好きです。

若い時に、仲間と一緒に高速道路を一切使わずに日光へ下道で行きました。
事前に何一つ相談することもなく、
「日光にでも行かねぇか?」
「行こうぜ」
即決でした。
千葉からの下道での道のりはけっこう長くて、出発が遅かったこともあって日光市内に入ったころには暗くなっていました。
宿泊先の予約していなくて、どこに行けば泊まれるのかもわからなくて、お金もないので安くて止まれそうな古い宿を飛び込みで訪ねたらお婆さんが対応してくれました。
「今夜泊まれますか?」
と聞くと、
「泊まれるよ」
と良い返事。
仲間とバイクを停めてヘルメットを持って座敷に上がると部屋へ通されました。
すると宿のお婆さんが僕らの部屋へきて、
「晩御飯はもう下げちゃってないからね、これでも食べなさい」
と言って、お盆に桃を2つとナイフ1本を置いて行ってくれました。
たったそれだけの事なのですが、僕にとってはどんな高級ホテルの接客よりもこのお婆さんと桃の記憶が強く残っています。
そういう心遣いが嬉しくて、仲間とニコニコしながら桃を食べました。

この仲間とは時々突飛なツーリングをしていました。
「牛丼食いたくねぇか?」
「いいね、食いに行くか~」
話しが決まると早速バイクに跨って、向かった先は横浜でした。
千葉から横浜へは、大体60から70kmくらいですからそんなに遠いというほど遠くはありません。
当時は東京湾アクアラインもありませんでしたから、都内を抜けて走るのが当たり前でしたから、首都高を使ったと思いますが、それでも片道1時間ちょっとかな。
横浜市内に入り、ルートも決めずに思い付くままにただ走って、吉野家の看板が目に入ったからバイクを停めて入店。
こういう牛丼の食べ方って、何故か心底美味しくて、お目当ての牛丼を食べ満足でした。
「じゃ帰るか」
そのまま深夜の都内を走り抜けて千葉へ帰り、いつもの日常に戻っていったわけです。

もちろん、さすがに今の年齢で同じことはできません。
でも、嫌いじゃないんです、こういう思い付きで走ること。
もしまた仲間に誘われたら、片道100kmくらいまでなら思い付きで出かけてしまいそうな気がします。
車だったらやりませんけどね、何故かバイクなら嫌だとは思わないです。
何故そうなのかは自分ではわからないけど、バイクだと何のためらいもなくできそうな気がします。

そうそう、御殿場までコーヒーを飲みに行ったこともありました。
若い時って、そういう無計画にどこへでもバイクで出かけていたことを思い出しました。
次は宇都宮あたりに、ラーメンと餃子を食べに行きたいなぁ・・・
でも、前もってそれを考えたら思い付きではなくなってしまいますね。

年甲斐もなくこんなことをしたら、
「無謀だ」
「いい歳をしてなにしてるんだ?」
とでも言われてしまうのかな。


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