第17話 兄:若干霊感…ある?

 霊感。皆さんは霊感があるだろうか?
 ボクは全くない。皆無だ。
 家族も全く…と言いたいところだが、1人だけいる。
 それが兄だ。
 兄の話を聞くと若干霊感があるんじゃないかとボクは思うのだ。

 お盆の季節。
 我が家もなるべくお墓参りへ行っていた。
 そんなお墓参りで不思議な現象が兄の身に起こっていたのだ。

 兄が大人になってから聞いたのだが、
「俺あそこのお墓参り行くとさぁ、寺の目の前を通りかかると、毎回頭がめちゃくちゃぼーっとするんだよね」
 それを聞いてびっくりした。
 何度も墓参りに行っていたのに。
 なぜそれを大人になってから言うのだと。
「まぁ別に寺の前を通りかかったときだけだしさぁ」
 と本人は全く気にしていないようだった。

 他にも、実家の家を立て替えたときも不思議な現象が起こっていたそうだ。
 ボクらは家を立て替えるために近くの借家を借りていた。
 しかし、その借家のお風呂。あまり大きくなかったし、きれいとは言えなかった。
 そのため、家の取り壊しをするまで借家のお風呂には入らずに元の家でお風呂に入っていた。
 そのお風呂に入るために家に帰ったとき、不思議な現象に遭っていたらしい。

 家のお風呂は二階にあった。
 当然二階にあるので階段を登る必要がある。
 その階段を登っている最中、兄は毎回必ず意識が飛びそうになる感覚があったらしい。
 住んでいたときはなんともなかったのに、いざ取り壊しになる前のお風呂だけ入りに来ていたとき、兄はこの不思議な現象に会っていたらしい。
 
 それも事後報告で大人になってから教えられた。
 なんでそのとき言わないんだと問い詰めると、
「まぁ別になんともねぇしさぁ」
 と随分あっけらかんと答えていた。
 もしも、ボクが兄のような状況に陥っていたら絶対に家族に言っていた。

 ちなみにボク以外の家族は何も感じなかった。
 普通にお墓参りしたし、普通にお風呂に入っていた。

 こう思うと、霊感がないって素晴らしいことだなと思う。
 そりゃ霊感があることで何か幸運なことがあるかもしれないけれど、
 怖い目に遭うこともあるんだから。

 そんな怖い目に遭わなくて済むのならボクは万々歳だ。
 これからも霊感は要りません。

 まぁでも、兄に何も起こらなくてよかった。
 今度兄に会ったとき霊体験をしたかどうか、また聞いてみようと思う。
 

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