第14話 父:スーパーファミコン

 昔のボクはゲームばかりやっていた。
 暇さえあれば本当に1日中やっていた。
 それほどゲームが好きだった。
 それが原因なのか分からないが、小学1年生になって、初めての視力検査で遠視と判断されてしまった。
 ちなみに今は回復し、未だに両目とも1.0ある健康体だ。

 父はそんなボクがゲームばかりするボクのことを心配していた。
 兄もゲーム好きだったがボクほどじゃない。
 とにかくボクが異常なほどゲームが好きだった。

 ボクの小さい頃はプレステなんて時代じゃない。
 まだファミコンの時代だ。
 初代ファミコンが活躍していた。
 初代ファミコンとはファミリーコンピュータのことだ。
 尊敬の念を込めてボクは「初代」を付けている。

 そんな初代ファミコンはボクが小学生に上がる頃には終わりを迎えようとしていた。
 時代は初代ファミコンからスーパーファミコンへと移り変わっていたのだ。
 続々と面白そうなゲームがスーパーファミコンから発売された。
 我が家は…我が家はスーパーファミコンを持っていない!!
 ボクは歯がゆい思いをしながら見ていることしかできなかったのだ。

 でも何もしなかったわけじゃない。父に頼んでいたのだ。
「ねぇ、お父さん。スーパーファミコン買って!!」
「絶対にダメ!!」
 全く相手にしてもらえない。
 これは粘り強くお願いするしかない。
 来る日も来る日もお願いしたが、受け入れられることはなかった。

 しかしボクは一縷の望みを持っていた。
 そう、クリスマスが近づいていたのだ。
 小学1年生のボクはなんとなくサンタさんが両親であることは知っていた。
 いつ気がついたんだろう?分かんない。
 でも、クリスマスなら欲しいプレゼントを買ってくれるだろうと思っていた。

 12月25日。ボクは目を覚ます。
 そして勉強机に目をやる。
 そこには何かが、何かが置いてある!!
 もしや!!スーパーファミコンか!?
 ダメと言いながらなんだかんだ言って買ってくれたんだ!!
 でもボクはあることに気づいた。
「なんか…箱が小さくない?」

 ボクはベッドから起き上がり、プレゼントを確かめる。
 サンタさんからのプレゼントは…スーパーファミコンじゃなかった。
 ボクの好きな小枝というチョコのお菓子のでっかいバージョンとドラえもんの声優の大山のぶ代さんがナレーションをしている生き物大発見みたいなタイトルのビデオだった。
 ちなみに兄の方を確認してみたが、兄はドラえもんの百人一首だった。
「どこまで行ってもドラえもんかよ!!」
 こんなに嬉しくないクリスマスプレゼントは始めてだった。

 父は本気でスーパーファミコンを買う気がないらしい。

 続く。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?