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所作について

所作(しょさ):しわざ。ふるまい。身のこなし。

基本的に、人は自分を良く見せたい生き物だと思う。
人それぞれだが体型、装い、肌、髪など外見に気を遣う人は少なく無い。
うちの72歳になる母親も、最近になってネイルをし始めた。
もう亡くなった祖母は生前、ボケたのか突然ドモホルンリンクルの無料お試しセットを取り寄せ顔に塗りたくっていた。

また、外見以外でも、知的な話し方をしたい、高学歴なことに気づいて欲しい、お金を持っているアピールをしたいなど、いろいろな自分の見せ方というものがあるように思う。

これらと同じように所作というものもすごく大切な見せ方の一つである。

先日テレビを見ていたら、かわいく、かっこよく見られるふるまい講座というのをやっていた。女の子のキュートなブーツの脱ぎ方はえらく納得した。

突然だが「酒」と言って何を想像するだろうか。
当然「日本酒」のことであるが、しばしば「アルコール」のことと勘違いされる。
また「水割り」と言えば当然「ウイスキー水割り」だが、近年なぜか「焼酎水割り」が提供される。
これの原因は何かというと時代背景にあり、江戸時代、酒と言ったら日本酒しか無かった。その名残で「酒(さけ)」と言ったら「日本酒」なのだ。
戦後の経済発展で洋酒への関心が高まり、世のステータスシンボルとして高級なウイスキーが憧れの的だった。その中でも安っぽい飲み方に見える炭酸割りでなく高級感がある水割りで飲むのが主流になった。

これも実は今回話したい所作の一つ。
日本酒を頼みたい時に「お酒ください」というか「日本酒ください」というか。ウイスキーを飲むと時に「ハイボールください」というか「水割りください」というか。
人により価値観の差はあれど、大人っぽく見られたいという視点からすると古きを重んじる方がおしゃれな場合もある。

そして、酒の飲み方について。
徳利からお猪口に注がれた酒をどう飲むかだ。
男性であれば人差し指と親指で持ち、脇を上げ、顔の正面からぐいっと飲むのがいい。
女性であれば左手を添え、脇を閉じ、顎を上げずに少量嗜むのがいい。
これはあくまでどうすると美しく見えるか、という所作の話である。

座り方についてもそうだ。
椅子であれば男性は足を開いて座るといい。女性は膝を閉じやや斜めにすると綺麗に見える。
床であれば男性はあぐらをかくのがいい、女性は正座の方が美しいだろう。

さて今回この話題を書こうと思ったきっかけだが、服を脱ぐ時の所作をどれだけの人が気にしているだろうか。
所作というかただの脱ぐ順番である。
僕は日々ジムやサウナに行くので、人前で服を脱ぐ機会がよくある。
ただ服を脱ぐ、というだけではあるが、どのようにするのが良いのだろうか。

正解はまず靴下を脱ぐ。
次に上半身を脱ぐ。
そしてズボンを脱ぐ。
最後にパンツだ。

仮に違う脱ぎ方をしてみる。
ズボンを脱ぐ。
パンツを脱ぐ。
上半身を脱ぐ。
最後に靴下を脱ぐ。

どうだろうか。

何をくだらないことを言っているのかと言われればそれまでだ。
お前の服の脱ぎ方なんて誰も気にして無い。そりゃそうだ。
ただ、もしその瞬間を見られたらどうだろう。

キムタクやGACKTは自分自身を演じ続けているらしい。
常にかっこいい自分であることが仕事である以上、どのようなふるまいが最適解かを常に念頭におきながら行動するのだ。

そこには常に第三の目が必要になる。
自分はどのように見られているのか、どのようにしたら良く見られるのか。
これはただのナルシストの話ではない。
身なり、話し方、歩き方、遊び方、酔い方、、
何をとってもこのような視点を持ち合わせていないといけない。

自分を着飾ることの本質は、実はここにあるような気がする。