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「仲良くなる」が最大の武器

それぞれの店の店長に就任して一定の期間が経った。元々僕が立っていた店舗は僕無しでの営業となり、他の店も、その店の顔になっていた店長が別店舗へ移動し新しい顔として現在奮闘している真っ最中であろう。

うちの強みはカウンター商売であり常連客を作るところだ。
常連客としてリピートしてもらうには理由が必要だ。
料理、お酒、内装、客層、、、だがなんといってもスタッフの人柄が重要だと考えている。
ただ「人柄」と言うと先天的なものであるような気がしたり、努力で簡単にどうにかなる代物ではないと思われると思う。確かにそうだ。

人には大きく分けてリーダーシップが得意な人とフォロワーシップが得意な人に分かれると思う。スポーツで言えばキャプテン(リーダー)とチームメンバー(フォロワー)の様なものだろうか。(※監督はマネージャーである。)
もっと具体的に言えば、「人が付いてくる人」か「人に付いていく人」か。
一見、リーダーの方が能力が高そうだが、実はフォロワーシップをとることは簡単なことではない。
リーダーが指し示す方向をしっかりと理解し、次なる一歩のために全力でサポートできる力がフォロワーには求められる。

例えばこれらを「人柄」と呼ぶならば、ある種天性の才能の様な側面もあるので簡単には変えられないし、変える必要もない。
ただ、カウンター商売を強みとするうちの店で、人柄を求められ、常連客を獲得しなければならないといった場合、「人が付いてくる人」の方が有利に働く。
ではリーダーシップとは少し角度を変えてこの「人が付いてくる人」になれれば多くのファンが獲得できるのではないだろうか。

結論から言うと「仲良くなる」ことだ。
例えば、全く知らない街でも友達がやっているお店には足を運ぼうと思うであろう。知り合いが誰もいないイベントより知り合いが多いイベントの方が行きやすいだろう。疎遠になった小学校の同窓会より大学の同窓会の方が話が弾むだろう。
簡単に言うとこういうことだ。初対面の人より気が知れた人と接する方がリラックスでき居心地が良いのだ。

ではお客さんと仲良くなるためにどうしたら良いかということを自分の経験から考察してみたい。

①接触頻度を増やす
これは当たり前のことだが一緒に住んでいたり、毎日同じクラスに通っていたりすることで、毎日顔を合わしている人同士の方が親密になる。確かに毎日同じ顔見てるから飽き飽きする、という場合もあるがここで言っているのは仲良くなる機会が増えるということだ。
恋愛なども似ていると思う。
高校や大学まで毎日学校へ行けば一定の人には接触でき、新卒で大きめの会社に就職すれば学生気分のまま同期とつるんだりして自然と恋に発展するなんてことがあると思う。しかし数年経ち部下ができ仕事に追われ、一人暮らしの家に帰る生活をしているとふと気づく。プライベートで顔を合わせる人が極端に減り、恋愛もできず仲の良い友達が周りから減っていることを。
あくまでこれらは一例だが、接触頻度を増やす為には待っているだけではダメだ。どんどん自ら接触しに行く必要がある。

②関係深度を下げる
ある程度顔も知り、気軽に話せる仲になったら次はその関係を深掘りしていく。例えば定期的に通う美容室などがわかりやすいが、初めの頃はお互い情報が少ない為、住まいや仕事など上っ面のことしか話せない。しかし回数を重ねるにつれ互いの情報が少しずつストックされ深度が深まり会話が盛り上がる。これは①と相互関係にあるが、自ら根掘り葉掘り聞くのではなく、接触頻度を上げることで色々な場面に遭遇できるチャンスができる為それをきっかけに情報を得ていくのだ。先ほどの美容室であれば毎回着ている服が違ったりするところから情報を得ていく。

③自己開示をする
これは苦手な人はかなり多いと思う。自己開示とは自分のことを他人に話すことである。実は子供の頃に虐待を受けていたとか、バイセクシャルであるとか、低学歴なので人に言いたくないとか、人は何かしらコンプレックスを持っていたり、人にはなかなか打ち明けられないことがある場合が多い。
親を失ったとか失恋をしたとかセンシティブな話もあると思う。そのようなことを人に打ち明けるためには相手のことを信頼していなければならない。またこちらから自己開示をすると、「自分にだけ話してくれたんだ」という特別感から信頼に繋がる。そして最終的に相手も自分に対して自己開示をしてくれる様になるのだ。まずはこちらから信頼をし、信頼を獲得することが非常に重要になる。

④共犯関係になる
実際の犯罪を例にあげよう。1人で強盗をするより2人で行った方が安心できる。逃げる時もお互いで秘密は守り協力しあうだろう。なぜなら2人は共犯関係にありお互いがお互いをサポートすることで完全犯罪にしたいからだ。
我々の身の回りでもよくある光景なのが、例えば2人でキャバクラに行ったことを周りには内緒にしておこうとか、浮気現場を目撃してしまったけど絶対誰にも喋らないとかいうことも共犯関係に入るかも知れない。要するに2人だけの秘密を共有することでその仲はグンと縮まるのである。

⑤情報漏洩しない
以上①〜④までを行うことで相手から相当な信頼を獲得できると思う。その信頼を守る為にはそこで知り得た情報を他人に漏らさないことだ。冗談として笑い話になる場合もあれば、人に話すことによってより良い方向に向かうこともあるかもしれないが、いずれも当事者の前で話すべきで、陰口のように本人がいないところで情報が出回るのはもってのほかである。これを徹底してはじめてそれまでの行動が生きてくる。

他にも色々あるだろうが実際に経験した中での考察が以上の通りだ。
これらはお店のお客さんを常連化させるための手段という文脈で語ったが、プライベートにおける恋愛や人付き合いにも生きてくる内容だと思う。
これらを実践すると必ず「モテる」。異性からはもちろん同性や世代を問わず人が集まる様になると思う。