見出し画像

新店舗における狙いと想い

浅草に来て6年、ほしやの立ち上げから始まり振り返ると色々なことがあった。以前も書いたが組織編成のため、個人事業主として2店舗出し、新会社を設立し今に至る。

今回はなぜこのタイミングで新店舗出店に踏み切ったのかということを掘り下げてみたいと思う。

そもそもの狙いはこうだ。
コロナの影響で思い通りに営業ができない分、協力金がもらえ、うちみたいな小さな店舗は当然日々の売上も少ないのでとても助かった。
しかし、それは税務上雑収入に分類され課税対象となる。
なのでもらったお金をとっておいたら多額の納税をしなければいけないので将来への投資として支出を増やさなければいけない。

会社を設立した2021年6月頃からそんなことを考えており、「よし、そうしたら来年の5月の決算までには新店舗を出店して節税だ!」と意気込んでいた。

わかる人ならこの時点でお気づきだろうが、そうではなかった。

まず体制の整理をすると、
株式会社フーテンの設立:2021年6月30日
アイデアからフーテンへのほしやの事業譲渡:2021年8月1日
佐藤個人からフーテンへのよたか、ギフの事業譲渡:2021年8月1日
佐藤個人事業主としての廃業:2021年12月15日
株式会社アイデアの解散:2022年1月17日
という流れだった。

要するに協力金はほしやの分はそのほとんどがアイデア家業で、よたか、ギフの分は佐藤個人で受け取っていたので本来節税として対策するならばフーテンでではなく、アイデア家業や佐藤個人でしなければいけないのだ。

ただどちらもたたむ予定で、フーテンに一本化しようという最中、将来への投資などはできない。例えば佐藤個人の廃業はもう少し待って、佐藤個人で昨年内に新店舗を出店してお金を使い、確定申告を終えたらフーテンに事業譲渡、などもできなくはなかったんだろうが、コロナがいつ明けるかもわからず、従業員も足りず、物件探しもできていない状況では現実的ではないのと、そもそも事業譲渡における名義変更は現在の店舗でその面倒臭さを思い知ったので出来れば避けたい。

そして仮にそれらがうまいことできたとしても忘れてはいけないのが減価償却の存在だ。新店舗とはただの支出でなく資産としてみなされる為、一括で償却できない。
といったように、当初思っていた思惑とだいぶズレてしまった。

結果、できる限りの節税の末個人の確定申告を終え、それでも結構な額を収め、フーテンでさあやろうと試算したらギリギリ足りるか、足りないか、といったのが現状である。なので従業員にはその様な危機感は忘れないでもらいたい笑

さて、もう少し本題に近づけるとする。
確かに上記の様な税務的な思惑はあったものの(完全に失敗しているが、、)、出店に対する想いはこれまでとは少し違っている。
ほしや立ち上げの頃は当然浅草近辺の知り合いなど多くなく、基本は元々僕達が住んでいた新宿、渋谷界隈の人々や同級生などそもそもの友達がばるばる遊びに来てくれていた。
料理は提供するものの、お客さんとの距離が近いお店の規模感や接客を武器に営業していた為、次第に近くに住む常連さんも増え始め、地域に溶け込んでいった。
その後オープンしたよたかやギフもそうだ。カウンター商売を基本に密なコミュニケーションを大切にしてきた結果、今があると思う。

では次に出すお店も同じ方針で行くべきか。否、今回はまた違った挑戦をしたいと考えている。
本来は違う土地にまた数店舗といった様な発想を持っていたが、コロナの影響もあり、なかなか物件が見つからずまた浅草での出店となった。

そこでこれまでの店舗を整理すると
ほしや
・駅から近くアクセスが良い
・路面店でガラス張りなので店内の様子が見れ入りやすい
・近くにホテルも多く旅行者にも認知されやすい
よたか
・カラオケが歌える
・ボトルキープで会員制感がある
・2件目利用
ギフ
・ノーチャージ、立ち飲みで気軽に飲める
・小腹がすいたら軽食がある
・3件目利用

といった具合に飲み始めから飲み終わりまで完結できる様な個性の店舗が出揃っている。では次にまた同じエリアで店を出す場合、どのような個性を持たせるべきか考えた時、ターゲットを変えてみるのはどうだろうと思った。

これまでのカウンター商売でのターゲット層は近くに住む30代男性が中心だった。それは自分と年も近いため距離が縮まりやすく、経済的にも不自由ない年齢で、独身であれば仕事後の拠り所として利用してもらいやすいと考えたからだ。

なので今回はそこから少し離れて、浅草以外からもわざわざ足を運んでもらえる様なお店づくりをし、しかもメインターゲットを女性に変えようと思っている。
その為、主力の飲み物はキンミヤからワインに変え、料理も簡単な家庭料理ではなくちゃんと美味しいイタリアンを提供し、内装も居抜きでなくスケルトンからしっかり作り込む為、時間もお金もかかるがしっかりターゲットを呼び込むことが出来れば他の3店舗とバッティングせず、しかもここから浅草回遊コースを案内できるのだ。

当然この店独自のコミュニティが形成されていくことも大いに望むが、役割としてグループの中でもこれまでとは違った強みを発揮できる店に育っていくことを楽しみにしている。