雨の夜
ひさびさに来た。
自分の肉体も精神もすべてが嫌いになってしまう夜が。
自分で決めたことから逃げたもやもやと、ここ数日の睡眠不足、小雨の混じる冷たい夜風にじめじめ火照る体、呼気で湿気ったマスクが息苦しい。切り取られた思い出ひとつひとつが、どうしようもない自分をこれでもかと照らし出して責め詰る。なんとなく急かされて歩みを早めても、じっとりとのしかかって付き纏う。
こんな夜はとっととメイクを落として、汗を拭いて、ミルクティーを作るのだ。
ベタついた顔をざばざばと水で洗い流すのは心地いい。仕上げに化粧水を振りかけたら、さっきまでどう追いやってもくっついて離れなかった自己嫌悪はさっぱり消えて、何を考えていたのかも、今は全部水に流れた。
なんとかやっていけそうじゃないか。こんな人間でも。
ちゃんと切り替えられてるよ。
ミルクティーが冷めないうちに飲もう。
そしてレポート書くんだ。
今夜はよく眠れるように。
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