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セクター別解説/バイオ編②/提携・導出期待相場について

前回記事 バイオ株の基本的なサイクル

前回、バイオ株で上昇トレンドを作りやすい局面として、
①市場規模や売上試算の大きいパイプラインに進捗が期待される局面
②導出・提携に進展が期待される局面(又は導出・提携がされた局面)
③黒字化が期待される局面(又は黒字化した局面)
の三つの局面を挙げた。

今回は、上記のうち、②について相場例を挙げながら説明する。

1   提携・導出の局面で上昇トレンドが生まれる理由

 バイオの提携・導出の局面では、パイプラインに実際に金額が設定されることになる。これはフェーズの進捗とは全くの別の問題で、実際にお金が動く場面である(もちろん開発が進んだパイプラインの方が価値は高い)。
 通常、この金額というのは、①契約一時金、②進捗に応じて受領するマイルストーン、③上市後の販売額に応じたロイヤリティー、から構成される。パイプラインの価値は、これらの合計値である(※③は不確実)。
 この合計値が、当該銘柄の時価総額よりも大きい、又は大きいと期待されるならば、上昇要因となる。
 また、導出・提携を行う時期的な目処がたっている場合、イベドリ効果も発生するため、より強い上昇になりやすい。

2  相場例

(1)オンコリスバイオファーマ

 例えば、2018年〜2019年のオンコリスでは、同社が2019年春頃を目処にパイプラインの導出契約をまとめるという情報があった。
 そして、オンコリスのパイプラインと同種の導出事例として、数百億円規模の他社事例があったことから、オンコリスの導出も同規模になるのではないかとの期待がされていた。
 このような背景のもと、オンコリスは約5か月で、実際の導出前に時価総額は約72億から580億に上昇(約500億分アップ)した。
 これは、提携の規模感が時価総額に比して大きい上、イベドリ効果も発生した好例である。

(2)リボミック

 また、最近の事例としてはリボミックも挙げられる。
 リボミックから2022年11月に1か月程度でパイプラインの提携をまとめる旨の情報開示があり、これにより約2週間で時価総額は約40億から100億に上昇(約60億分アップ)した。
 ただ、リボミックの場合、加齢黄斑変性の治療薬候補であり市場規模は大きかったのだが、2021年末に2相で失敗したものであったため、提携内容・金額に対する不信感はあったと思われる。

(3)ブライトパスバイオ

 同じく最近の事例では、2022年のブライトパスバイオも挙げられる。
 NKT-iPSプラットフォームの提携の準備が進んだ、という事情から、約1週間で時価総額は約37億→170億に上昇(約130億アップ)した。
 他社の同種プラットフォーム(※NK-iPSプラットフォーム)の提携事例は3000億と規模感は大きかったのだが、具体的な提携目処があるわけではなくイベドリ効果が働かなかったため失速したものと思われる。

(4)セルシード

 更に直近ではセルシードが同種細胞シートの3相の共同開発の提携のイベドリで急上昇している。
 変形性膝関節症は市場規模が大きく、これに関する提携では数百億規模の事例もあるため、規模感・期日といい、事例的にはオンコリスに類似しているといえる。
 この相場は現在進行中であり、実際の提携前に時価総額がどこまで上昇するか注目される。

 




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