それでも、やっぱり甘くて美味しい
元彼と出会ってからまだ付き合う前、
告白されてから私が返事を迷ってた頃、
私の誕生日があった。
まだ彼にもなってなかった元彼は
まだ私が返事をする前だから
形が残らないものの方がいいと思ってと、
お高そうな綺麗な蜂蜜のセットをくれた。
セットなので、
これがなかなか量があって、
かつ、綺麗で、すごく美味しくて、
蜂蜜がキラキラしてて、
これを食べるとなんだか元気になれて、
大事にゆっくり丁寧に食べていたので、
「形に残らないもの」を
わざわざ選んでくれたのに、
これだけが、今でも思い出として
唯一まだ「形に残っている」のだ。
これを食べるとなんだか元気になれて、
なんだか幸せになれて、
見てるとキラキラと嬉しくて
これを貰ったのをきっかけに、
付き合うことになった思い出のものだ。
残りあと3匙分だけ、
いつ食べていいのか、
いつになったら心揺らさず食べれるのか、
全然分からなくて、
ずっとキラキラとした蜂蜜が
ダイニングに輝いていた。
◇ ◇ ◇
今日の朝、
少しだけ甘い物が食べたくて、
キラキラした蜂蜜が目に入って、
いつも、目に入っても目を逸らしてたけど、
もう1ヶ月ちょうど経ったし
そろそろいいんじゃないかなと思って
1匙舐めてみた。
キラキラとした日々に食べた時のまま
甘くて、美味しくて、
でもそのキラキラはもう過去で
でもあの頃のまま、
やっぱり甘くて、美味しくて、
色んな感情がごちゃごちゃと湧いてきて、
変わらずキラキラした蜂蜜に
キラキラ思い出に
久々に泣いてしまった。
なんなら今もちょっと泣いてる。
◇ ◇ ◇
あと残り2匙、
いつ食べようか
いつなら食べれるのか
その時も、変わらず
やっぱり甘くて美味しいんだろうなと思って
感情の終着点がまだ見えないなと
あらためて思い知る。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?