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横倒しも鳴りやまぬ!圧倒的な熱気で猛暑を返り討ち!大阪三大夏祭「生國魂祭」

大阪府天王寺区に鎮座する生國魂神社
毎年七月十一日から十二日に行われる、大阪三大夏祭りのひとつ
「生國魂祭」を描く。境内や参道は溢れんばかりの人で溢れ、その隙間を縫うように獅子舞や御神輿がねり歩く。
節目節目で「いくたま締め」という手打ちが行われる。

  う~ちましょ シャンシャン
  もひとつせ シャンシャン
  祝おうて三度 シャンシャンシャン
  めでたいなあ シャンシャン
  本決まり シャンシャン

202いくたま夏祭08

境内は笛や太鼓のお囃子、神輿の掛け声、見物人のどよめきが混ざり合って渦を巻く。いくたま締めが始まると見物人も混ざって手打ちが行われ一体となって掛け声が境内を包み込む。

そして中でも目を引くのが枕太鼓のおねりだ。太鼓台の上に据えられた大きな太鼓を願人(がんじ)と呼ばれる打ち手が打ち鳴らす。背もたれが枕に似ていることが枕太鼓の名の由来とも言われている。赤い頭巾と瓢箪模様の法被が特徴的で「晴着」と呼ばれ、夏の夜空に爽やかに浮かび上がる。身体に巻き付けられた綱は「忍び」の道具で、バチと綱を組み合わせて非常時に縄梯子として利用していた名残とも言われている。

決して激しい太鼓ではないのだが堂々とした調子で響き渡る太鼓とともにゆっくりと境内を練り歩く枕太鼓は邪気を払う力が漲っているようだ。
 と次の瞬間どっしりと構えていた枕太鼓は歩みを早め走り出す。止まったかと思うと大きな枕太鼓をおもいっきりドスンと横倒しにする。予想外の枕太鼓の動きに度肝を抜かれる。その状態でも太鼓は鳴り止まない。一層の熱気が境内の中を渦を巻くように駆け回り見るものを圧倒する。暑さに体もまだまだ慣れていない七月。グッタリしがちなこの季節にを打ち破る圧倒的な祭の熱気は健康な身体を維持して夏を乗り越えれるだけの力を漲らせてくれるような気持ちにさせてくれる。

中外日報」連載記事「日本の祭・静と動」
令和2年(2020年)6月5日掲載
画・文 六覺千手

※令和2年度の生國魂祭は新型コロナウィルス感染拡大防止の観点から神事のみが催行されました。

↑作品制作工程をお見せします

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