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私募債で調達した資金での不動産購入

[要旨]

不動産を購入するための融資は、ほとんどの場合、購入物件を担保とすることが条件となります。しかし、私募債で調達した資金の使途については自由度が高く、不動産を購入した場合も、それを担保にするという条件はありません。


[本文]

先日、税理士の大久保圭太さんが、大久保さんのポッドキャスト番組で、私募債のメリットについてお話しておられました。ところで、中小企業が利用できる私募債には、いくつか種類があるのですが、ここでは、信用保証協会の保証つきの私募債を前提にして説明して行きます。大久保さんは、番組の中で、私募債で調達した資金で土地を買えば、土地に担保設定されないですむとお話しておられました。

銀行には、不動産を購入するための融資を行うときは、その不動産を担保にするという不文律があります。これには、明確な法律的な根拠はないのですが、銀行にとっては、これは、私たちが他の方から親切にしてもらったらお礼をいうくらいの「常識」になっています。ただ、私も、銀行勤務時代に数回の経験があるのですが、購入対象の土地ではなく、融資を受ける人の預金を担保にするなど、別途、流動性の高い(換金性が高いという意味)担保を提供してもらえる場合は、購入対象の土地を担保条件にはしないという例外はあります。

話を戻して、融資については前述のような不文律があるのですが、私募債は資金の使い途については縛りがないので、「不動産購入のための私募債発行」という概念はありません。したがって、私募債で調達した資金を使う場合に、私募債を引き受けた投資家(=銀行)から、都度、何らかの条件をつけられるということはありません。また、私募債の発行手続きにおいても、私募債は一般的には担保なしで発行されるので、購入した不動産を担保にするという条件はつきません。

仮に、私募債の発行条件に担保が条件が加わった場合でも、それは、私募債の発行の時点で発行会社が所有する資産を担保にするので、私募債発行後に新たに取得する不動産を担保にすることはありません。もちろん、私募債を発行するためには、発行会社の財務基盤が良好であること、一般の融資と比較して、手続きがやや煩雑であるという面での短所があります。でも、前述のように、一般の融資と比較して、資金使途の自由度が高いという利点がありますので、ご関心のある方は、私募債を利用することをお薦めします。

2022/2/15 No.1889

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