見出し画像

[要旨]

自社の損益分岐点売上高から、損益分岐点比率や安全余裕率も計算できますが、それらの比率から、自社の収益性の安全度を見ることができます。


[本文]

前回は、損益分岐点売上高公式(以下、単に「公式」と記します)について説明しましたが、今回は、その公式の活用法について説明します。例えば、年商6,000万円のA社の変動費が3,000万円、固定費が2,000万円だったとします。A社の損益分岐点売上高は、公式にあてはめると、(固定費2,000万円÷(1-変動費3,000万円÷売上高6,000万円)=4,000万円です。このようにして、損益分岐点売上高が求められますが、A社は、理論的には、売上高が6,000万円から4,000万円へ、2,000万円減少すると、利益が0になるということが分かります。

ちなみに、売上高に対する損益分岐点売上高の比率を、損益分岐点比率といいます。A社の損益分岐点比率は、損益分岐点売上高4,000万円÷売上高6,000万円=66.7%です。この比率は、高いほど、会社の安全性は低くなり、90%以上になると、改善が必要と言えます。

また、売上高と損益分岐点売上高の差が、売上高に占める割合を、安全余裕率と言います。A社の安全余裕率は、(売上高6,000万円-損益分岐点売上高4,000万円)÷売上高6,000万円=33.3%となります。安全余裕率は、損益分岐点比率とは逆に、低いほど安全性も低くなり、安全余裕率が10%以下であれば、改善が必要と言えます。

なお、数式からもわかる通り、損益分岐点比率+安全余裕率=100%という関係にあり、両者は、それぞれ、損益分岐点売上高の位置を逆に見ているということです。このように、公式から損益分岐点売上高を計算し、さらに、損益分岐点比率や安全余裕率を算出し、自社の安全度を確認することは、経営者として重要な役割です。さらに、損益分岐点売上高は、事業計画の検討などにも活用できますが、それは、次回、説明いたします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?