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ゾンビ会社に対する社会的な評価

[要旨]

ゾンビ会社の中には、ポテンシャルが高いにもかかわらず、大きな会社との取引で、正当な利益を得ることができず、業績が悪いという会社もあります。したがって、ゾンビ会社を支援の対象から外すにあたっては、公正な取引が確保できることが保証されることが前提となります。


[本文]

前回は、中小企業の財務諸表は正確ではないことから、支援の対象から外すべき会社をどのように見分けるべきか、これから、広く、議論が必要になるということを述べました。今回は、ゾンビ会社への支援を避けるために、単に、「べき論」を述べるだけでなく、具体的にどういったことをすべきかということの、ふたつめについて述べます。

それは、ゾンビ会社に対する、社会的な評価を収斂させることです。まず、ゾンビ会社は、一般的には、存在すべきでないと言われています。その理由は、非効率な経営をしている会社が、政府や銀行の支援を受けて事業を続けていると、独力で事業を行っている会社との公正な競争が妨げられるからというものです。これについては、ほとんどの方が理解されると思いますが、その一方で、ゾンビ会社を擁護する意見もあります。

例えば、健康社会学者の河合薫さんは、日経ビジネス2020年8月25日号で、「雇用調整助成金を単なる延命に使う会社が存在する可能性は否定できないが、そういったネガティブな結果を基に、『ゾンビ会社の延命の手助けをするな!』といった、いわばイメージで、救える会社を救わないのは、結果的に日本の土台を壊してしまう」と述べています。私は、ゾンビ会社は淘汰されるべきという考え方をしていますが、3分の1程度は、河合さんの意見を理解します。

なぜなら、業績の悪い中小企業の中には、納品先である大きな会社との力関係で、競争力の高い製品であっても、正当な価格で製品を納品できないという例があるのも事実だからです。業績の悪い中小企業のすべてがそうだとは言えませんが、技術力が高くても、十分な利益を得られない会社もあるようです。話がそれますが、中小企業庁も、中小企業が大きな会社との取引で不利益を被ることのないよう、対策を講じているので、遠くない将来、それは徐々に解消していくものと思います。

話を戻すと、現時点では、単に、ゾンビ会社というだけで、淘汰されるべきとは断定できないとも、私は考えています。そこで、真に淘汰されるべき会社とは、どのような会社かということは、これからも広く議論され、その見解が収斂されていかなければならないと思います。もちろん、本当に淘汰されなければならない会社は、現在も存在しますので、その結論も、なるべく早く出されなければならないことは、いうまでもありません。

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