見出し画像

ダイバーシティ・マネジメント

[要旨]

米国のシスコシステムズ社は、機会の平等をかかげ、性別、人種、国籍などにかかわらず、成果に対して正当な評価で応えることで、組織としての成果を高めています。一方、日本の会社の多くは、同質主義の組織風土があり、機会平等が実践されにくい環境にあります。これを改善することで、日本の会社の業績が改善することが見込まれます。

[本文]

今回も、前回に引き続き、藤野英人さんのご著書、「5700人の社長と会ったカリスマファンドマネジャーが明かす儲かる会社つぶれる会社の法則」を読んで、私が気づいたことについて書きたいと思います。同書の中で、藤野さんは、ダイバーシティ・マネジメントの重要性について述べておられます。「多様性を認め、経営に反映させることを、ダイバーシティ・マネジメントといいます。明確なビジョンのもと、多様な人材を採用し、まとめ上げる企業は、成長率が高くなると考えられるため、ダイバーシティ・マネジメントへの取り組みは、企業を評価する際の重要なポイントです。

例えば、カリフォルニア州を本拠地とするシスコシステムズ社には、『機械の平等』という言葉が飾られており、『性別、人種、国籍、信条、宗教、健康等にかかわらず、すべての人に機会の平等を与える』と添えられています。シスコシステムズは、博愛主義や、フェミニズムを主張しているのではありません。同社は、『どんな人間であっても、仕事に付加価値を生み出すことができるのなら、正当な評価で応える』というメッセージを発信しているのです。実際、シスコシステムズ社を支える社員の中には、インド人や中国人などの意味がたくさんいます。

彼らは優秀なだけでなく、移民であっても成功すれば充分な訪中を与えるため、高いモチベーションを持って働いています。一方、日本社会といえば、純血主義や同質主義といった風潮がいまだに色濃く、国籍や人種の異なる人を柔軟に受け入れる素地があるとはとてもいえません。機会の平等を打ち出して実践する企業と、同質の人間だけを集めたがる企業-どちらの企業が人材に恵まれるか、答えは言うまでもないでしょう。外国人採用や、障碍者雇用、女性活用などを推進している企業は、日本ではまだまだ少ないと言えますが、今後、積極的に取り組むことで、成長の伸びしろが大きくなる会社も出てくるのではないかと思います」(136ページ)

シスコシステムズ社はその代表例ですが、米国は移民の国であるからこそ、米国の会社は機会平等を実践し、そのことが会社組織の成果を高めているということは、よく知られています。しかし、その実践は、口で言うほど容易ではありません。しかも、藤原さんもご指摘しているように、日本の会社の多くは同質主義の風土が残っています。だからこそ、これも藤原さんが指摘しておられるように、ダイバーシティ・マネジメントに、1日でも早く取り組む会社ほど、ライバルと差をつけることができると、私は考えています。ダイバーシティ・マネジメントは、一朝一夕に効果が現れませんが、その確立に取り組む会社は、真に経営基盤が強い会社になるでしょう。

2022/8/22 No.2077

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?