リースは融資枠を温存するのか?
[要旨]
リースを利用することで、銀行から見た、その会社への融資可能額を温存するという効果があります。しかし、リース会社の金融サービスは、設備導入面に限定されるので、事業を安定的に発展させるためには、銀行との関係も良好にしておくことが大切です。
[本文]
リースを利用することのメリットのひとつとして、よく、「融資枠を温存する」ということが挙げられます。この「融資枠」ということばが何を指すのかということは、あまり定まったものはありませんが、銀行が、自己査定の際に決めている、各融資相手に対する取引方針で、各融資相手に行う融資額の上限額という意味であるとすれば、「リースを利用することで、融資枠を温存する」という効果はあると思います。
だからといって、リースユーザーが、リース会社とたくさんのリース契約を結んだとしても、「融資枠」はまったく影響を受けないかというと、必ずしも、そうではありません。リース契約を増やしたことによって、リース料の支払い総額が増えれば、利益額が減少する要因になりますし、未経過リース料が増加すれば、銀行は、融資方針を変更する可能性があります
しかし、ある会社が、銀行から融資を受けて設備を導入したあと、その銀行から運転資金としての融資を受ける場合、その会社がリースによって設備を導入していたときよりも、銀行は、追加の融資に、少し、慎重になるということは事実だと思います。そのような面から見れば、リースを利用できる設備はリースを利用して調達しておくという対策は、銀行からの融資を円滑に受けるために効果があるといえます。
とはいえ、リース会社は金融サービスを提供する会社のひとつですが、リース取引は設備導入面での支援に限定されます。当然のことですが、会社の事業がピンチになったとき、その会社の支援に関しては、幅広い金融サービスを提供できる銀行が主導権を握ることになるでしょう。したがって、リースをたくさん利用すると同時に、普段から、銀行と関係も良好に維持しておくことが、自社の事業を発展させるためには大切であるということは、いうまでもありません。